WIDEプロジェクトと米国の団体Internet Systems Consortiumは6月16日、東芝と共同でDNSサーバ「BIND9」の性能を引き上げる研究プロジェクトを完了したことを発表した。応答速度を従来比で最大2.1倍にアップさせたという。
これまで、BIND9の実装では、複数CPU環境における性能が不十分で、とくに処理数が膨大なルートサーバでのBIND9移行の妨げとなっていた。そこで、今回の研究では、マルチスレッドにおける性能上の主な障害を取り除く実装アーキテクチャを検討。たとえば、従来の実装では、サーバ上のメモリ領域を複数のサーバが頻繁に参照および更新する構造だったものを、参照個所を可能な限りスレッド単位に分割して並列実行できるようにした。
また、サーバのデータベース構造も抜本的に見直し、スレッド間で衝突が起こりにくくするような改良が施された。さらに、ゾーン情報(DNSサーバが読み込むデータ)の構造を最適化したことで、約850万個のデータを持つサーバデータセットの設定を読み込ませたところ、従来の2倍以上の高速化を確認できたという。
6月19日に予定されている総務省戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)成果発表会において、この研究の成果が報告される予定。