Officeのニューファミリー「Groove」で何ができる? - (page 3)

柴田克己(編集部)

2006-08-09 20:49

ビジネスでの利用に耐えるセキュリティ

 特に日本では「ピア・ツー・ピアでのファイル共有」という表現からWinnyなどを連想し、セキュリティ面での危惧を感じるユーザーも多いかもしれない。しかし、マイクロソフトでは、ビジネスでの利用を前提とした適切なセキュリティが確保された製品であることを強調する。

 例えば、Grooveでは基本的に「匿名」での利用を認めないほか、デジタル指紋をベースとしたユーザーのなりすまし防止といった対応が行われているという。また、ワークスペースのデータは、そのワークスペースの利用者にのみ共有されるキーを用いて暗号化を行い、データ通信時のセキュリティを確保する。企業内で利用される場合においては、Groove Serverを併用することによって、各ユーザーの権限設定や利用状況の監査などを行い、さらに高いセキュリティを確保できるとしている。

 マイクロソフトでは、Grooveの利用シーンとして、プロジェクト管理や部門内での情報共有といったチーム内コラボレーションのほか、在庫情報や製品資料などの取引先との共有、関連会社との共同開発プロジェクト、顧客サポートといった場面を提案している。同じく「情報共有のためのプラットフォーム」とされるSharePoint ServerとGrooveとのポジショニングの違いについては、「コラボレーションの進行度」と「コンテンツの永続性」という2つの軸による説明をしており、特に「プロジェクトの早期段階(進行度低)で、成果物の保存が短期(永続性低)」の場合には「Grooveの利用が効果的」とする。

GrooveとSharePointのポジショニング図 マイクロソフトが説明する、GrooveとSharePointのポジショニングの違い。プロジェクト初期の段階、もしくは成果物の保存期間が短期の場合にはGrooveによるコラボレーションの効果が高いという。

小規模、短期プロジェクト向けのライセンスも提供

 Grooveの製品ラインアップとしては、クライアント製品の「Microsoft Office Groove 2007」、サーバ製品の「Microsoft Office Groove Server 2007」といったパッケージ製品に加え、それぞれに「Microsoft Office Live Groove」「Microsoft Office Groove Enterprise Services」と呼ばれるサブスクリプション形式でのライセンス提供も行う計画だ。Live Grooveは、期間を1年間に限定したクライアントライセンスで、小規模な期間限定プロジェクト向けのもの。Groove Enterprise Servicesは、中小規模(500ユーザー以下)での利用者向けに、マイクロソフトがGroove Serverの各種機能(セキュリティ、管理、業務システム連携)をホスティングサービスとして提供するものになるという。

 独特のアーキテクチャとサブスクリプション形式のライセンス提供で、これまでのOfficeファミリーとは大きく趣が異なるコラボレーション環境を提案する「Groove」。ビジネスでの利用だけにとどまらず、例えば学生や趣味のグループなど、さまざまなシーンで活用できる製品となりそうだ。

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