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PLMは製品開発の現場に革命を起こすか - (page 2)

友永慎哉

2006-09-13 18:26

売れるときにどれだけ売るか

 まず、PLMの導入企業は、商品仕様の事前検討や開発期間の短縮によって、自社商品の市場投入までの期間の短縮化を図ることができる。

 これにより、ユーザーが求めるデザインや色などの情報を把握した上で、それをすぐに商品化することが可能になる。商品が「売れ筋」である間に市場に投入することで、より高い値段で、より多くの商品を販売できるようになる。それが、収益の最大化につながるわけだ。また、自動車業界はもちろん、季節性の強いアパレル業界などでも、商品人気の持続期間は短い。商品をより早く市場に投入して換金することは、リスクの回避であるという見方もできる。

 例えば今なら、男児を出産した秋篠宮妃にあやかって、「高品質な商品をなるべく早く開発して全国の百貨店などで販売すれば、利益率の高い商品を大量に売り切れる」とメーカーが考えるのは自然だ。そのために、アパレルをはじめとしたさまざまなメーカーは現在、より早い商品開発にしのぎを削っているはずである。逆に、もし今ごろになってメーカーが、「レイザーラモンHG着ぐるみ」などを売り出そうとすれば、きっと目も当てられないようなひどい結果が待っているだろうということは小学生でも分かる。

 製造業者が、ヒット市場に自社商品を投入するまでの時間をどれだけ短縮できるのか。つまり、PLM導入による勝負は「タイムツーマーケット」にあると言っても過言ではない。

PLMを支援するツール群

 PLMは文字通り、製品のライフサイクル全般にわたる概念であるため、それを支えるツールも各ライフサイクルによって異なる。

 一般にPLMツールとして紹介されているのは、商品企画や設計の段階で、物理的に離れた場所にいる複数の担当者が、垣根を感じることなくアイデアを出し合い要件を詰めるための「コラボレーションツール」、製品に必要な強度などのシミュレーションを含め、詳細な設計作業をコンピュータで行うための「CADツール」、製品を組み立てるために必要となる部品をできるだけ効率的に管理する「PDMツール」などである。

 こうした製品の中で興味深いもののひとつがコラボレーションツールだ。

 従来、製造業における製品の設計開発は、大部屋で働くさまざまな担当者が集まり、話し合う「すり合わせ方式」で行われてきた。IT化が進むことで、そのスタイルにある程度の変化はあるものの、仕様決定などの重要な部分は、今後もすり合わせ方式によって決められていくと考えられている。これは、大部屋主義と呼ばれることもある。

 しかし、現在のメーカーはグローバル化が進んでおり、すり合わせようにも、必要な人材が日本、米国、欧州、中国などに分散しているケースも多い。それぞれの地域では、話される言語、文書の書式、意思決定のプロセス、文化的な側面に至るまで、さまざまな相違点があることは想像に難くない。この状況で、時折電話会議などを行って「すり合わせ」ても、時間の無駄になってしまう恐れがある。

 このようなときコラボレーションツールは、各地域間を横ぐしにする形で、ウェブページ上に「バーチャルな大部屋」を構築する。さらに、バーチャルな大部屋の中で、設計開発者同士の物理的な距離を取り払ったチームが構成される。例えば、ある企業では、新商品のアイデアをメンバー全員が参照できる場所に集約し、チーム内で各アイテムをレビュー、評価するかもしれない。また、話し合いが必要な場合は、インスタントメッセージングや音声チャットを使ったり、さらにはウェブカメラによるテレビ電話機能を活用したりすることで、バーチャルな環境を限りなくリアルに近付けることもできる。また、コラボレーションツールには「投票機能」なども搭載されており、メンバーがさまざまな観点からアイデアの重み付けを行うことにより、1つのアイデアを革新的なものへと育て上げることができるようになるという。

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