でも勝負はやはりコンセプト次第?
このようにPLMは、商品を市場に投入するまでの時間、タイムツーマーケットの短縮化による売り上げの拡大と、製品開発における情報の徹底管理による、コスト削減を図る取り組みである。
しかしながら、高度にデジタル化された現代のビジネス環境において、PLMの導入は確かに不可欠ではあるものの、あくまでもプロセスに関するソリューションにすぎないという点には注意すべきだ。というのも、最近のほとんどのヒット商品は「コンセプトの魅力」がヒットのカギになっているからである。iPodにせよ、日産のスカイラインにせよ、小泉純一郎首相や「エロかっこいい」倖田來未といった人物にせよ、プロセスの追求からは生まれてこなかったはずだ。
夏の高校野球で優勝した早稲田実業の斎藤祐樹投手によって、「究極のブランド商品」となったあの青いハンカチについて、その製造プロセスの良否を問う人はいないだろう。やはり、製造業の本質は、あくまでも「いかに人の心をとらえる商品をつくるか」にあるということだ。