野村総合研究所(NRI)は11月10日、2011年度までのWeb 2.0関連技術の進展を予測した「ITロードマップ」を発表した。
このレポートは、モバイル環境におけるWeb 2.0関連技術も含む。現在は通信速度に起因する制約があるものの、2008年に通信速度の速い3.5Gの携帯電話が普及し、モバイル環境でWeb 2.0サービスを利用する「モバイルWeb 2.0」が普及期に入る。
さらに、2010年にはネットワークに接続された情報機器やセンサーにより個人の活動履歴を詳細に記録する「ライフログ」の活用が消費者主導で始まることが予測されるという。
企業におけるWeb 2.0の関連技術の活用は消費者より遅れる。今後は企業内ブログの活用が拡大すると予想され、社内の非定型情報の共有が可能になる見込みだ。さらに、ライフログ関連技術を利用することで、社員の詳細な行動データを自動的に蓄積でき、さらにそのデータを分析することも可能になる。
同社では、消費者の情報通信インフラの利活用環境が、企業のそれをしのぐ現象を「産消逆転現象」と呼んでおり、これまで産消逆転現象はブロードバンドネットワークや携帯電話の利用など、ネットワークや端末の領域において起きていたとする。
だが最近では、情報の利活用でも産消逆転現象は起きており、消費者はさまざまなメリットを享受。今後は、企業も消費者主導のWeb 2.0関連技術を積極的に活用することで、生産性向上を目指すべきだとしている。
ITロードマップは、IT戦略の意思決定を支援することを目的に、5年先までの情報技術を予測した同社の技術見通し。同社の技術調査部が半期ごとに公表している。