マイクロソフトは11月21日、教育分野への取り組みの一環として実施している大学における人材育成支援に関する成果のひとつとして、学校法人 同志社のローム記念館プロジェクトが取り組んでいる「みなメールプロジェクト:幼児から高齢者までメールで話そう!プロジェクト」の公開デモンストレーションを実施した。
ローム記念館プロジェクトは、同志社が半導体メーカーであるロームの支援により、メディアテクノロジを創造的に活用したコンテンツ制作やソフト開発など、情報文化の未来を切り開くための取り組みを実施するプロジェクト。教職員、学生、企業など、さまざまな人材がコラボレーションによりチームを作り、テーマごとにプロジェクトが展開されている。
今回、マイクロソフトとローム記念館プロジェクトが共同で公開した「みなメールプロジェクト」は、メールを便利で使いやすいコミュニケーションツールとして活用することで、世代を超えたコミュニケーションを実現するもの。コミュニケーションデバイスとしてタブレットPCを最大限に有効活用するためのメールソフトが開発されている。
具体的には、タブレットPCを利用して書いた絵をメールとして簡単に送れる幼児向けメールソフト「おちゃメール」を開発。すでに文部科学省の科研費女性(15700111)で開発されていた高齢者向けメールソフト「吟メール」とあわせ、幼児、高齢者、学生の3世代でのメール交流を、2006年9月よりスタートしている。
公開デモンストレーションでは、同志社幼稚園と介護付き有料老人ホーム「宝塚エデンの園」の間、および同志社幼稚園の園児同士でのメール交換が実施された。
「おちゃメール」は、手書き入力によるお絵かき機能や効果音や音声を組み合わせた操作性により、幼児が興味を持ち、簡単にメールを送ることができる機能を搭載したメールソフト。一方、「吟メール」は、手紙のように縦書きで文字が書け、必要最小限の機能で構成されたシンプルなメールソフトとなっている。
公開デモンストレーションを視察したMicrosoft Internationalの社長でMicrosoftのシニアバイスプレジデントを務めるJean-Philippe Courtois氏は、「学校の授業でITを活用する事例は多いが、幼児と高齢者、そして学生という世代を超えたコミュニケーションを実現できるプロジェクトは他にない。その点で、このプロジェクトは非常に素晴らしいプロジェクトだと感じている」と話す。
プロジェクトの責任者である同志社女子大学 情報メディア学科 助教授、和氣早苗氏は、このプロジェクトを始めたきっかけについて「もともと“ユーザーインターフェース”と“コミュニケーション”という2つのテーマに興味があった。メーカー企業に勤めていたときには、ビジネスに直結できるシステムしか開発できなかったのだが、いつか、どこかで実現したいと思っていた」と言う。
「キーボードを使うことなく、ペンで入力できるタブレットPCの特長を生かした、だれでも気軽に、楽しんで使える、どの世代にも活用できる身近なコミュニケーションの手段となることを目指している」と和氣氏。今後は、「みなメール」のコンセプトや機能を拡張し、「障害を持つ人たちが自由にコミュニケーションできる仕組みを実現したい」(和氣氏)という。
「みなメールプロジェクト」の詳細は、同プロジェクトのウェブサイトで紹介されている。