Skypeの特徴とビジネス利用で懸念されること
セキュリティは、今日の企業にとって大変重要な問題である。これは特に、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律:Health Insurance Portability and Accountability Act)や、GLBA(金融機関向けの顧客情報守秘に関する法律:Gramm-Leach-Bliley Act)を初めとする法律によって、特定情報の機密を保護するために手段を講じることが要求されている産業に身を置く企業に当てはまる。Skypeはすべての音声トラフィックをAESを用いて暗号化している。AESは2002年に米国政府に採用された強力な暗号化標準だ。
多くのVoIPシステムが抱える実装上の問題として、そのプロトコルがファイアウォールやNAT(Network Address Translation)とうまく連携できない点ことがある。しかし、SkypeはNATやファイアウォールをはさんでも正しく動作できる。
またSkypeは、サムスンのi730 Pocket PC電話といったWindows Mobileデバイスでも利用できる。こういったデバイスをインターネットに接続することで、毎月の固定料金に含まれる通話分数を使わずに電話をかけることができる。さらに、SkypeIn番号を取得すればボイスメールアカウントを持つことができ、あなたが電話に出ない場合(これには、あなたのコンピュータの電源がオフになっている場合や、インターネットに接続していない場合も含まれる)に、電話をかけた人がメッセージを残せるようになる。
企業にとって、従業員が世界中のSkypeユーザーと無料で通話できる(これにはビデオ電話も含まれる)という事実は魅力的だろう。さらに、電話会議も無料で行える(上限4人)し、グループチャットを行うこともできる(上限100人)。
また、2006年末まで、無償サービスの一環として米国およびカナダ国内の固定電話および携帯電話に電話をかけることができる(両国からの発信に限定される)。お金を払ってSkypeIn番号を取得すれば、非Skype電話からかけられた電話を受けることができるだけではなく、Skypeにかかってきた電話を固定電話や携帯電話に転送することもできる。
Skypeで問題になることとして、Skypeを利用してかけられた電話では発信者番号が表示されない点がある。Skypeからかかってきた電話の発信者番号はすべて000-012-3456になる。特定できない相手からの電話を拒否するよう設定している人にSkypeを利用して電話をかけた場合、電話は通じない。
また、Skypeは(そのウェブサイトやソフトウェアで頻繁に警告されているように)緊急電話サービスを提供していないことを忘れてはならない。Skypeでは911の緊急通報(警察/消防/救急用電話番号)を行うことができないため、Skypeを唯一の電話サービスとすることはよい考えとはいえない。
バージョン3はここが新しい
eBayが2005年にSkypeを買収した際の公式発表文の中で、同社の最高経営責任者(CEO)Meg Whitman氏は「Eコマースをリードする存在であるeBayとPayPalをインターネット音声コミュニケーションの大手(Skype)と連携させることによって、われわれはネットビジネスのための非常に強力な環境を創り上げることができるだろう」と発言していた。