従来は、会計パッケージやスケジューラ、MES(製造実行システム)などと個別に接続するためのインターフェースを構築していた。別のシステムとの接続に関しては、ユーザーやSIerがリスクを負担する形になっていた。それが、標準インターフェースをベンダー同士で提供することによって、バージョン間の不整合などがある程度解決できるようになってきている。
さらに、個別の製品同士の接続ではなく、SOAによる連携を可能とすることで、アプリケーション製品に手を入れることなく連携を実現させる手法を取り入れ、MIJSの参加ソフトウェア同士での連携検証も行っている。
その検証は、ソフトブレーンの「eセールスマネージャー」とアプレッソの「DateSpider Servista」上で連携した顧客管理と見積・受発注システム、およびSSJの「SuperStream」とオラクルの「Oracle BOEL Process Manager」上で連携した、販売系売上、請求、債権管理システムの2システムで行われた。
「MIJSには特別な思い入れがあり、欲張って2つの検証に参加してしまった。しかし、1カ月間の内、たった数日の開発だけで接続することができた。まさにこれがSOA(サービス指向アーキテクチャ)の利点といえるだろう」(羽田氏)
SOAのスムーズな接続と内部統制の関係
個別の製品接続でも、互いに標準インターフェースを持つ製品同士ならば、接続はさほど難しくはない。しかし、企業内にはさまざまなパッケージが存在する。特定のベンダーが納入したオフコンですべてをまかなっている企業は、現在かなり少なくなっている状況だ。また、各種業務に特化したパッケージを個別に導入すれば、「いいとこどり」ができるわけだが、内部統制という観点で見た場合、すべてのパッケージが内部統制に対応するのかどうかという問題がでてくる。
その点SOAは、元のシステムに手を加えずに、必要な機能同士を手軽に接続することができるため、対応しているパッケージ同士ならば部分的にパッケージを入れ替えることも可能だ。内部統制に限らず、より業務にフィットしたパッケージが登場した場合には、その部分のパッケージだけを差し替えることもできる。
「MCFrameは内部の機能を部品化しているが、まだその粒度は粗い。各ベンダーが自社サービス内のサービス単位を細かくすれば、ユーザーはビジネスルールを書いたり、モニタリング、ワークフローといった部分を自身でできるようになるというメリットがでてくるだろう」(羽田氏)
東洋ビジネスエンジニアリングは、ITベンダー11社が参加した内部統制対応を目的としたプロジェクト「CONTROL2006」にも参加している。参加各社の製品を採用している仮想企業を想定し、SOAによる製品連携に取り組んでいるという。
今後のMIJSでの活動について、羽田氏は、「MIJS参加パッケージ同士での個別インターフェースを作り、さらにSOAの考え方に立って、スマートに、安価で柔軟性をもった接続を提供して行きたい。現在は、マスタの標準化やトランザクションの標準化にも取り組んでいるので、来年のカンファレンスではそれなりのものが見せられたらいいと考えている」と語り、今後の活動に意欲を覗かせた。