MicrosoftのOfficeプログラムは世界中の企業や家庭で使用されている。Business Week誌によると、Microsoft Officeは2006年7月時点で市場シェアの95%を占め、4億人以上のユーザーが使用しているという。Microsoftは2007年1月30日、Officeスイートの最新バージョンとして「Microsoft Office 2007」(開発コード名「Office 12」)を一般ユーザー向けに発売した。
Office 2007にはクールな新機能が数多く盛り込まれているものの、本稿の目的はそれらを紹介することではない。ほぼすべてのソフトウェアについて言えることだが、アップグレードにはトレードオフがつきものである。新しいOfficeのメリットを享受できても、利用できなくなって残念に思う旧バージョンの機能がいくつかあることだろう。そこで今回は、Office 2007へのアップグレード後に利用できなくなってユーザーが最も残念に思うであろう機能のいくつかについて解説したい。
メニューやツールバーがリボンに変わってしまった
大半のOfficeプログラムにおいて、2003と2007というバージョン間の違いとして最もわかりやすく、最も物議を醸しているのは、慣れ親しんだ従来のツールバーに代わって新たに採用されたリボンである。これについては好き嫌いが分かれている。しかし、このリボンを気に入っているユーザーの多くも、従来の「クラシックな」見た目に戻すことのできるオプションがあればよいのにという意見に同意している。リボンとは図Aのようなものである。
大半のOfficeプログラムで、従来のツールバーに代わってリボンが採用されている
残念なことに、従来の見た目は完全に姿を消してしまった。しかし、リボンが貴重な画面作業領域において無視できないほどのサイズを占有しているのが気に入らなければ、リボンを最小化することも可能だ。リボンタブのどれかを右クリックして「最小化」を選択するだけで、図Bに示すようにリボンを最小化できる。
図B:貴重な画面作業領域を占有し過ぎないよう、リボンを最小化することができる
リボンを最小化した場合、そのタブ見出しのいずれかをクリックすればリボンが自動的に元のサイズに拡大され、タスクの選択後に再び自動的に最小化される。各見出しの下にどのような選択肢があるかが分かってくると、リボンを最小化した状態でも作業しやすくなる。とはいえ、従来のカスタマイズ可能なツールバーがあった方がよいのにと思い続けている人もいる。
Outlookの記憶力は今までのバージョンほどよくない
そりゃあ、われわれだって、歳をとってくると多少物忘れがひどくなってくる。Outlookの場合も同じように歳をとってきた兆候が現れているだけかもしれないが、以前ほどものごとをよく覚えていないのである。Outlook 2003の優れた機能として、クリックによってあるフォルダから別のフォルダへと移動した後、元いたフォルダ(受信トレイやメールのサブフォルダ)に戻ってきた場合、そのフォルダで前に選択されていたメッセージが同じように選択されているというものがあった。
しかしOutlook 2007では、そうなる場合もあればならない場合もある。クリックして受信トレイを離れ、また戻ってきた時には、2回に1回以上の割合で、メール一覧の一番上のメッセージが選択されるので、前に選択していたメッセージを選択するために下へとスクロールする(または[End]キーを押す)必要がある。
またOutlook 2007は、メール一覧ではメッセージを古いもの順に表示するというわたしの好みも忘れてしまう。メッセージを新しいもの順に表示するというデフォルトに戻してしまうのだ。さらにOutlook 2007は、時には(先の問題ほど頻繁ではないが)わたしが「プレビュー」ペインを使いたいと思っていることさえ忘れてしまう。さらに、設定すべてを自分の好みにしてあるOutlookをクローズし、その後オープンするだけで、「プレビュー」ペインがなくなっていたり、前のように右側ではなく下側に配置されていたという経験がわたしには何度かある。
新しいOutlookについては、便利なTo Doバーがあるし、ほかにもたくさん気に入っている点があるものの、わたしはOutlook 2003の優秀な記憶力が懐かしい。