また、wizpyで用意されているFirefoxには、Shockwave FlashやAdobe Readerなど、ウェブページを閲覧するために必要と思える一般的なプラグインがあらかじめインストールされている。このため、ウェブサイト上で公開されているPDFファイルの内容も、次のようにFirefox上で参照できる。

よりよい進化に期待
このように日常使うメールクライアントとブラウザが用意されているため、wizpyだけを持ち歩き、その場にあるPCに接続して、いつでも同じ環境で情報を受け渡せる。ただし、実際にwizpyを中心にした環境に移行するには、いくつか課題を解決しなければならないようだ。
まず、wizpyで用意されるユーザー領域の大きさが課題となる。wizpyに付属するマニュアルによると、データの格納に利用できるユーザー領域は、4GBモデルで約500MB、2GBモデルで約350MBだ。つまり、wizpyに保存できるメール量は、これまで使用していたPCに比べてかなり少ないものになる。
ちなみに、筆者が利用しているPC環境では、ここ9年間で2GB強のデータをメールで受け取っている。このため、筆者がwizpyを中心にした環境に移行したとすると、保持できるメール量は2GBモデルで1年半分程度になる。これだけの期間があれば何とかなる気もするが、不安も少しある。まあ、この課題は、メールサーバを現在使用しているPOP形式からIMAP形式のものに変更してしまえば、その場で解決することではある。
もうひとつの課題は、バックアップツールが用意されていないことだ。
wizpyでは、先ほど示したgzipコマンドと同様に、ターミナルを起動することでtarやcpioといったバックアップ用コマンドが使用できる。そして、これらのコマンドを使うことで、「マイPC」として作成したディスク領域やネットストレージにデータをバックアップすることはできる。ただし、その使い勝手はあまりよくないだろう。この点に関しては、今後の改善を望みたいところだ。
デスクトップ環境を持ち歩き、その場にあるPCを使って情報を受け渡すという、wizpyの製品コンセプトは興味深いものだ。ただし、仕事のために使うツールとして見たとき、改善をお願いしたい点がいくつか出てくる。搭載メモリ量による制約もあるだろうが、よりよい製品に進化していくことを期待したい。