富士通は5月14日、「TRIOLE BladeServer」シリーズの新製品となる、ブレードサーバの「PRIMERGY BX620 S4」、そのシャーシとなる「PRIMERGY BX600 S3」、スイッチブレードの「PRIMERGY BX600」を発表した。これらの製品は、同社が2006年6月に発表したTRIOLE BladeServerシリーズの第2ステージの製品となる。
富士通では、これまでに受けたブレードサーバの商談のうち、約8割がサーバ集約を目的としたものだった。これらのケースを分析した結果、「サーバ集約には様々な課題があることもわかってきた」と富士通 パーソナルビジネス本部 本部長代理の増田実夫氏は言う。
その課題とは、統合したシステムに業務が集約されるため、トラブル時の波及範囲が拡大することや、ひとつのシステム内にさまざまな業務が混在するため、性能干渉が発生すること、また柔軟な機器拡張が困難なことなどだ。「こうした課題を、仮想化技術を中核として解決するのが今回発表したBladeServer第2ステージの製品群だ」と増田氏。
新製品ではネットワークが拡張され、業務の追加や変更が容易になったほか、仮想化技術を使うことで運用管理が簡素化された。
最新ブレードサーバのPRIMERGY BX620 S4は、LANポートを標準で6ポート装備しているほか、オプションでLANおよびファイバーチャネルポートを2ポート追加できる。また、フロントにもLANポートを2ポート追加することができ、最大10ポートまでLANポートが拡張可能だ。プロセッサには、インテルの低電圧クアッドコアプロセッサ「インテル Xeon L5320」(1.86GHz)も搭載し、従来の同等性能のプロセッサと比べて最大約60%の消費電力削減が実現した。すでにブレードを導入している顧客の投資保護という観点から、従来より提供しているシャーシ「BX600 S2」との互換性も確保している。
新型シャーシのPRIMERGY BX600 S3では、サーバブレードと内蔵スイッチ間のスループットが従来の約4.3倍となった。新開発の広帯域ミッドプレーンで次世代の10GビットLANにも対応する。
スイッチブレードのPRIMERGY BX600は、1Gbpsおよび、4Gbpsに対応するファイバーチャネルスイッチブレードが用意されている。1Gbpsタイプは、従来製品と同サイズで、従来の16ポートから42ポート(アップリンク12ポート、ダウンリンク30ポート)へとLANポート数を大幅に拡大した。4Gbpsのファイバーチャネルスイッチブレードは、標準で12ポート(アップリンク4ポート、ダウンリンク8ポート)、最大で16ポート(アップリンク6ポート、ダウンリンク10ポート)に対応する。
ファイバーチャネルスイッチブレードには、オプションとして、富士通とファイバーチャネルデバイス大手のEmulexが共同開発した「SAN接続仮想化オプション」が9月より提供される予定だ。このオプションは、サーバブレード上のファイバーチャネルに仮想World Wide Nameが付与されるというもの。富士通が同日発表したミドルウェア「Systemwalker Resource Coordinator Virtual server Edition V13.2」と同オプションを組合せることで、ブレードサーバとストレージ間のSAN接続の仮想化ができ、物理サーバと仮想サーバが混在していても、サーバ構成変更の際に必要なストレージやネットワークの再設定がプラグ&プレイで実行可能となる。
PRIMERGY BX620 S4 サーバブレードは、デュアルコアのXeon 5110(1.60GHz)を搭載したモデルが43万円から、クアッドコアのXeon L5320(1.86GHz)を搭載したモデルが57万6000円から。シャーシのBX600 S3は35万円、1Gbpsタイプのスイッチブレードは30万円、4Gbpsタイプのファイバーチャネルスイッチブレードは168万円。ファイバーチャネルスイッチブレードの出荷時期は6月中旬からで、その他の製品は6月上旬より出荷する。
同社の2007年度の日本国内におけるPRIMERGY全体の販売台数の目標は8万5000台。そのうちブレードサーバの販売目標は約6000台だ。今後のBladeServerシリーズのロードマップとして増田氏は「中小規模のオールインワンシステムや、上位のミッションクリティカルシステムにも適用分野を拡大していきたい」と述べる。また、仮想化技術について同社 プラットフォーム技術開発本部 本部長の橋本光廣氏は、「Linux仮想サーバやWindowsの次期サーバOS『Longhorn』、I/Oの仮想化を含め、さまざまな仮想化技術との統合運用を順次実現させたい」している。