EMCジャパンは5月31日、情報インフラ管理ソフトウェア「EMC Smarts」を発表した。Smartsは、ストレージ、IPネットワーク、サーバ、アプリケーションを垂直方向に管理し、発生した障害の根本原因分析や、その障害が与えるビジネスへの影響を自動的に分析するモデルベースの統合管理システムだ。同社 執行役員 マーケティング 兼 パートナーアライアンス統括本部長の古谷幹則氏は、「モデルベースの管理ソフトは業界初」と話す。
モデルベースの統合管理システムでは、アプリケーション間の依存関係やサーバ内の情報を自動で収集する。従来の管理システムとの違いについて古谷氏は、「Smartsでは、ルールを記述する必要がない。特許技術である『Codebook Correlation Technology』により、障害の根本原因を特定できる。既存の管理者の知識に依存して手動で常に新しいルールを作成したり変更したりする必要がなくなる」としている。
障害の根本原因の特定が自動化されることで、根本原因以外に起因する余分なエラーメッセージが自動的にフィルタリングされる。また、同じメッセージが大量に出た場合も1つのメッセージに自動的に集約されるため、「これまでのように大量のエラーメッセージが表示されることはない」と古谷氏は説明する。
EMCジャパン 執行役員 事業開発室長の藤生徹氏は、「2007年には日本版SOX法も施行される。ITILベースの情報インフラ管理を目指している企業にとって、SLA(Service Level Agreement)の遵守や、ビジネス観点からの管理、早期のCMDB(Configuration Management DataBase)の構築が大きな課題だ」として、Smartsのニーズは高いと見ている。
すでに米国などではSmartsの導入が進んでいる。同製品の一番のユーザーは、英国のBritish Telecomだ。日本では現在インターネットサービスプロバイダと金融系の2社が導入している。
EMCジャパンでは、金融業、通信業、製造業、データセンターなどを中心に、日本国内でSmartsを200社に導入したい考えだ。これにより、EMCジャパンのソフトウェアの売上の20%がSmartsの売上となることを目指す。製品は同日より販売・保守代理店である日商エレクトロニクス経由で販売開始している。現在同社はSmartsの新たなパートナーと交渉中で、年内には4〜5社のパートナーと手を結びたいとしている。