ストレージ業界アナリストの見る「良い買収、悪い買収」

藤本京子(編集部) 2005年07月22日 17時19分

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 デジタルデータの容量が増加の一途をたどるにつれ、ストレージの需要も高まっている。ストレージベンダーは顧客のニーズを満たすべく、さまざまな製品や戦略を打ち出し、自社のサービスを拡充するために必要な技術を持つ企業の買収も頻繁に行っている。

 こうした動きの激しいストレージ業界をアナリストはどう見ているのだろうか。米Enterprise Stragety Group(ESG)のシニアアナリスト、トニー・プリグモア氏に、ストレージ業界のトレンドや、企業買収の意義などについて聞いた。

--まずストレージ業界の最近の動向を教えてもらえますか。

 近ごろの動きで最も顕著なのは、多くのユーザー企業がテープストレージからディスクストレージへと移行していることでしょう。ESGで調査したところ、18%のユーザーはすでにテープからディスクへの移行を実施しており、58%のユーザーは将来的に移行を考えているとしています。すでに移行を実施しているユーザーのうち26%は、100テラバイト以上のデータを移行しており、移行を考えているユーザーのうち80%は、2年以内に実施したいと答えています。

「ストレージ企業の勝ち組は専業ベンダー」とプリグモア氏

 また、ILM(情報ライフサイクル管理)を実現するためには、ボリューム管理やプロビジョニング、バックアップ、仮想化技術などの導入で、ネットワークにインテリジェンスを与えることが必要となります。ネットワークインテリジェンスをうまく採用すれば、コスト削減にもつながります。これもユーザー調査の結果なのですが、ネットワークインテリジェンスを導入したユーザー企業に、1年間で実現したコスト削減率を聞いたところ、6階層以上のSANを導入しているユーザーの場合、ストレージ管理で19.3%、ストレージソフトで16.2%、ストレージハードウェアで23.8%のコスト削減が可能だったと答えています。

 ストレージにおいて高いデータセキュリティが求められるのも、最近の動向といえるでしょう。バックアップしたストレージデータの紛失や盗難などの事件が相次ぐ中、企業はストレージのポリシーや手順を見直したり、データ暗号化技術の導入や検討を開始したりしています。

--ストレージの需要が高まる中、ストレージベンダーの業績も伸びているようですが、この業界で勝ち組となるのはどのような企業でしょうか。

 やはりストレージ専業の企業でしょうね。サーバベンダーにもストレージを提供している企業が多く、中にはストレージビジネスにかなり力を入れているサーバベンダーもありますが、そのような企業はサーバやネットワーク関連のビジネスとストレージビジネスの相乗効果を考えずにはいられないため、常に両分野の兼ね合いを考えてビジネスを進めなくてはなりません。こうなるとストレージビジネスにフォーカスできなくなってしまいます。サーバベンダーはこの点でストレージ専業ベンダーより不利でしょう。

 また、こうしたサーバベンダーがストレージビジネスにフォーカスしたとしても、サーバなしのビジネスが考えられないため、市場が限られてしまいます。つまり、IBMにしろHewlette-Packard(HP)にしろ、いくら品質の良い製品を抱えていても、実際には自分たちのサーバが導入されているところにしかストレージを販売できないのが現状です。Sun MicrosystemsのサーバとHPのストレージという組み合わせはあまり見かけませんからね。一方、ストレージ専業ベンダーであれば、HPやSun、IBM、Dellなど、サーバの種類を問わずして顧客にストレージを販売できます。EMCのストレージとHPのサーバという組み合わせは全く不思議ではありませんから。あらゆるサーバをベースとしたシステムに対し、ひとつのインフラを売り込むことができるというのは、ストレージ専業ベンダーにとって大きなメリットです。

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