NECとEMCは4月5日、日本およびグローバル市場における戦略的アライアンスを拡大すると発表した。ストレージ製品やミドルウェア製品、コンテンツ管理ソリューションの開発を共同で実施すると共に、国内ストレージSIビジネスを強化する。
NECは、1997年よりEMCのストレージ関連製品を活用したSIビジネスを展開してきた。今回のアライアンスは、「プロダクト販売のパートナーシップから一歩踏み込んだ、開発やソリューション協業まで広範囲なアライアンスになる」とNEC 代表取締役 執行役員社長の矢野薫氏は述べ、「両社で次世代情報管理市場のグローバルリーダーをめざす」とした。
「これまで以上に深い関係になる」と決意も新たに写真撮影に応じるNECの矢野社長(左)とEMCのTucci社長(右) |
まず両社は、次世代のストレージ製品に関する技術検討を行い、次期エントリーレベルのストレージ製品を共同で開発する。EMCは、DellやIntelなどと共に、エントリーレベルの外部ストレージの標準化をめざす非営利団体Storage Bridge Bay Working Groupを3月6日に結成しており、NECもメンバーとなったばかり。両社で開発する新ストレージは、同団体で設定される標準に基づいた最初のストレージになる予定だ。
新ストレージが製品化される時期は未定だが、製品化された際にはNECがiStorageシリーズとして、EMCがCLARiXシリーズとして販売する。ストレージの生産はNECが担当する。
ミドルウェア製品においては、NECのシステム管理製品「WebSAM」と、EMCのリソース管理ソフト製品「Smarts」との相互接続性を強化する。これにより、サーバ、ストレージ、ネットワークのリアルタイムなシステム管理が実現する。最終的には、WebSAMとSmartsのフレームワーク統合を目指し、双方の製品を自社製品ラインアップへ組み込むための技術検討を実施する。
また両社は、EMCのコンテンツ管理ソフトと、NECの業種・業務アプリケーションのノウハウを組み合わせたコンテンツ管理(ECM:Enterprise Content Management)ソリューションを共同で開発する。EMCは日本市場に向け、日本語対応の強化やサポート体制を強化する。
SIビジネスにおいては、販売やシステム構築、保守サポート面での協業を強化する。また、IT資源の最適化を目的としたNECの「プラットフォーム最適化ソリューション」と、EMCのストレージシステム最適化を目的とした「EMC Provenソリューション」やデータのライフサイクルに合わせた最適管理を支援する「ILMコンサルティング」を組み合わせ、ソリューションを強化する。その一環として両社は、共同検証センターを設置する。
EMCの会長 兼 社長 兼 最高経営責任者(CEO)のJoe Tucci氏は、「ブロードバンドネットワークと企業向けソリューションのリーディングプロバイダーであるNECと、情報インフラストラクチャのリーディングプロバイダーであるEMCが手を組むことで、1+1が2以上になるような効果が生まれ、優れた次世代情報インフラストラクチャが実現する」と述べた。
なお、EMCはDellとも協業関係にあるが、Dellとの関係は、EMCのストレージをDellがOEM販売するという関係で、開発レベルまでには至っていない。EMC 上級副社長のHoward Elias氏は、「今回のNECとの提携は、Dellとの関係に影響を与えるものではない。Dellとはもちろんだが、他のパートナー企業とも今後も変わりなく良好な関係を続ける」と述べた。