EMCジャパンは9月15日、情報ライフサイクル管理(ILM:Information Lifecycle Management)を具現化する「EMC CLARiX ディスク・ライブラリ」(CDL)の新モデル4種類およびソリューションパッケージの新製品「ILMサーバ・ソリューション・パッケージ」の販売を開始することを発表した。
ILMは、情報が生成されてから廃棄されるまでのライフサイクル全体を、効率的かつ最適なコストで管理するために必要なソリューションを提供するためのEMCのビジョン。今回発表された新しい製品群は、このILMを実現するための戦略の一環であり、バックアップ/リストアソリューションとして提供される。
EMCジャパン プロダクト&ソリューション・マーケティング本部 プロダクト・マーケティング部 部長である宮治彦氏は、「ある調査では、企業システムにおいて毎年60%程度の増加率でバックアップが必要なデータが増え続けていることが報告されている。増え続けるデータをいかに効率的にバックアップするかは企業にとって大きな課題の1つ」と話す。
これまでのバックアップは、テープシステムを使用することが一般的だったが、メカの部分の故障やテープの劣化などにより、時間の経過とともにエラーが発生する可能性が高くなる。また、テープによるバックアップでは、データ量の増加に比例してバックアップ時間がかかってしまうことも課題の1つだった。このような課題を解決することを目的に提供されるのがCDLだ。
今回発表された4種類のCDL最新モデル「CLARiX DL740」「DL720」「DL710」「DL310」における最大の特長は、従来モデルに比べ最大2倍のパフォーマンスと最大348Tバイトという大容量を比較的低価格で提供できること。これらの特長は、CLARiXネットワークストレージシステムの性能と信頼性に加え、コストパフォーマンスの高いATAディスクドライブ、100%互換のテープライブラリエミュレーション機能を搭載することで実現されている。価格は、最小構成で1270万円より。
また同時に、より効率的なバックアップ/リストア環境を実現することを目的に提供されるのがILMサーバ・ソリューション・パッケージとなる。
ILMサーバ・ソリューション・パッケージは、19インチラックにNAS(ネットワーク接続型ストレージ)製品「Celerra NS500」およびCAS(コンテンツ・アドレス・ストレージ)製品「Centera」を搭載し、ポリシーベースのデータ管理とデータ移動を実現するソフトウェア「Centera FileArchiver」(CFA)により制御することでストレージ階層間でILMを実現する。価格は、最小構成で998万円より。
同ソリューションパッケージの特長は、NASへのアクセスに影響を及ぼすことなくCASへの物理データの移動が可能なこと。使用頻度の低いデータを、保存/廃棄ポリシーに基づいてバックグラウンドでCASに保存し、NASから自動的に削除することができるので、バックアップデータの容量とバックアップ時間を削減することができる。
ILMサーバ・ソリューション・パッケージを導入することで、企業データの70%といわれる3カ月以上使用されない非活性データをCFAを使用してポリシーに基づきCenteraにアーカイブすることが可能。低コストでのデータ保管と必要なときにすぐにデータを使用できる利便性を両立できる。また、残り30%の活性データだけをATAディスクにバックアップすればよく、効率的なバックアップ環境を実現できる。
EMCジャパン 代表取締役社長のナイハイゼル・エドワード氏は、「EMCは、2005年第2四半期に23億4000万ドルを売り上げてた。これは対前年比で19%の成長になる。現在では米国だけでなく、すべての地域で2桁成長を続けており、研究開発費も10億ドルを超えている。この好調な実績に基づき、ハイエンド、ミッドレンジ、ストレージ、レプリケーション、ソフトウェアなど、すべてのストレージ関連分野でナンバーワンの地位を維持していきたい」と話している。