出光に訊くBEAのSOAによるITの最適化--BPMの導入へチャレンジ

大野晋一(編集部) 2007年07月04日 22時26分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「情報システムは社内の効率化の旗振り役」というのは出光興産 情報システム部システム総合研究所 所長の山村俊行氏。同社では効率化のためにSOAを導入した。

出光興産 情報システム部システム総合研究所 所長の山村俊行氏 出光興産 情報システム部システム総合研究所 所長の山村俊行氏

 山村氏の言う効率化とは「同じようなことをやりたい2部門があったとき、(それらをまとめて)こうすべきだ、という方向性を出す」こと。同氏は、こうした動きを率先できないのであれば「アウトソースなり、子会社に出してしまうなりすればいい」(山村氏)とする。同社は、この規模の企業でありながら情報システム部門を子会社として作らず社内に150人の部門を持っている。

 効率化が求められる一方、業務アプリケーションに関しては、「業務ごとにSAP R/3やOracle、国産まで様々なパッケージアプリケーション、必要に応じて手組のアプリケーションも導入している」(同)と実に多岐にわたる。これは、情報システム部門のガバナンスが効いていないわけではなく「業務内容を最適に満たすことができるように、適材適所で業務アプリケーションを選択できるという考え方をしている」(同)からだという。ITではななく業務が優先という思想からだ。メインフレームも残っている。同氏は「オープンシステムだから安いと言うことは決してない。トータルで見るとメインフレームのほうが安い局面はまだまだある」とする。

 こうしてできあがったヘテロジーニアスな環境を、基盤レベルで連携させていく必要がある。同社では、ホストコンピュータの更新を契機に基盤の情報システム再構築を行っている。再構築の目的はビジネスニーズの変化にシステムが素早く追従することと、情報開示の早期化、経営判断のための情報の一元化と素早い提供となった。特に同社は2006年に上場しており、情報開示の早期化へのニーズは大きい。

 この再構築の基盤として同社はSOAを選択した。具体的にはBEA Aqualogic Service Busを導入している。「POSは.NET、生産管理はSAP、WebはJava、メインフレームも残る」(同)という状況においてSOAは自然な選択だ。ただ、BEAに相談を持ちかけたときSOAが念頭にあったわけではない。SOAはBEA側からの提案だった。さらにいえば、山村氏は社内でSOAという言葉を使わないという。「連携基盤という言葉を使っている。SOAなどの3文字熟語はユーザ事業部からすればよくわからず、だまされている気になる」(同)。また、ビジネスアプリケーションを保守・展開する側としても「SOAを意識したことはない」(同社)という。しかし、SOAの導入によって、単位連携あたりの工数は削減されているという。

 山村氏は、現在のデータ連携にとどまらず、業務アプリのなかにBPMを取り入れて、プロセス連携までをカバーできる基盤を作りたいとする。こうした中で業務フローの洗い出しからプロセス設計という作業が必要とされる。「内部統制の必要性から、会計などの分野で業務フローの洗い出しが行われている。これが契機になってほかの分野でも進むのではないか」と同氏は期待を示す。ただし、これには全社的な参加が必要になる。「情報部門とユーザー部門が一緒にモデリングしていかなければならない」(同)。同氏は「この面で部門間の人事異動などは良い面に働いていると思う」とする。山村氏自身、今回の再構築プロジェクトが始まる頃に製造部門から異動してきている。

 BEAでは、BMPはビジネスを、SOAはITを最適化する。ともに効率とコントロール、素早さをもたらす、とSOAとBPMを位置づけている。出光はSOAによってITを最適化した。次はBPMによってビジネスまでをふくめての最適化ステージとなる。ビジネスをきちんと理解した情報部門が、ユーザ事業部門をいかに参加させプロセスモデリングをしていくか、日本におけるSOA・BPM導入のロールモデルのひとつとしてこのチャレンジに注目したい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連キーワード
経営

関連ホワイトペーパー

SpecialPR

連載

CIO
ハードから読み解くITトレンド放談
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
研究現場から見たAI
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
内製化とユーザー体験の関係
米ZDNet編集長Larryの独り言
今週の明言
「プロジェクトマネジメント」の解き方
田中克己「2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
Fintechの正体
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
情報通信技術の新しい使い方
三国大洋のスクラップブック
大河原克行のエンプラ徒然
コミュニケーション
情報系システム最適化
モバイル
通信のゆくえを追う
セキュリティ
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
セキュリティの論点
ネットワークセキュリティ
スペシャル
Gartner Symposium
企業決算
ソフトウェア開発パラダイムの進化
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
CSIRT座談会--バンダイナムコや大成建設、DeNAに聞く
創造的破壊を--次世代SIer座談会
「SD-WAN」の現在
展望2017
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell EMC World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
さとうなおきの「週刊Azureなう」
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
中国ビジネス四方山話
より賢く活用するためのOSS最新動向
「Windows 10」法人導入の手引き
Windows Server 2003サポート終了へ秒読み
米株式動向
実践ビッグデータ
日本株展望
ベトナムでビジネス
アジアのIT
10の事情
エンタープライズトレンド
クラウドと仮想化