Linuxが注目され始めてから、すでに10年以上が経った。いまでは、Red Hat、Slackware、SUSE、Debianといった、さまざまなLinuxディストリビューションを好みに応じて自由に手に入れ、簡単にインストールできる。だが、このようなすばらしい状況なのに、なぜか思い悩むことがある。それは、どのディストリビューションを使えばよいかということだ。
そんな悩みを心の片隅に抱いていたところ、日本、中国、韓国のソフトウェア会社3社が協同で開発し提供するAsianux Server 3のベータ版を入手した。そこで、東アジア発のLinuxディストリビューションがどのような香りなのかを試してみることにした。
品質面とサポート面に注力
Asianuxは、ミラクル・リナックスが提供するLinuxディストリビューションだ。Asianuxの開発には、ミラクル・リナックスとともに、中国のRed Flag Softwareと韓国のHaansoftが携わっている。この中国、韓国、日本のソフトウェアメーカー3社によって開発され提供されるAsianuxで、Asianux Server 3という製品が2007年9月に登場する。
ミラクル・リナックスでは、Asianux Server 3を、品質、サポート、機能の3面に注力した製品と位置づけている。品質面では、他のディストリビューションよりも多くのバグに修正を施しているという。具体的には、ストレステスト、機能テスト、ベンチマークテスト、互換性テストなど、さまざまなテストによってバグを検出し、修正を施しているそうだ。
また、サポート面では、Linuxカーネルの知識を有するエンジニアを多数在籍させ、Miracle Linuxから続く7年間の実績とともに、ミラクル・リナックス自体が開発に携わることで、システム導入からパッチ提供まで幅広く対応する。さらに、機能面でも、日本語文字特有の複数バイトや異体字への対応にも積極的に取り組んでいる。
今回試用したAsianux Server 3ベータ版は、ミラクル・リナックスが募集していたレビューキャンペーンに応募し入手した。手にしたベータ版は、CD-ROM 3枚組のパッケージとA4サイズ両面にわたる評価版使用権許諾書1枚だけ。インストールや製品に関するドキュメント類はいっさいない。
ベータ版を手にしたとき、CD-ROM内にオンラインドキュメントが収められているのかと想像したが、この期待はあっさり裏切られた。つまり、ベータ版ではドキュメント類はいっさい提供されていなかった。
インストールは至極簡単
それでも、最近のLinuxディストリビューションはドキュメント類にいっさい目を通さなくても簡単にインストールできるので、早速Asianux Server 3をインストールすることにした。インストールCD-ROMのディスク1を挿入してPCを再起動すると、Asianux Server 3のインストーラ起動画面が表示される。通常は、グラフィカルモードでインストールするので、そのままリターンキーを押して作業を次に進める。