私は昨晩、Openadsの最高経営責任者(CEO)であるScott Switzer氏と楽しい夕食のひとときを過ごした。この企業とそのプロジェクトについては以前本欄でも書いたが、相変わらず、いやますます感銘を受けている。会話の中で、Scott氏はそう遠くない将来にはオープンソースがソフトウェアの開発、配布の既定の方法になるだろうと語った。当然である。オープンソースの効率の良さはとにかく群を抜いている。
読者がこの事実をようやく理解したときには何が起こるだろうか。ビジネスの構築方法が一変してしまうのだ。
Scott氏は他社と大きく異なる方面に時間を費やしている。同氏はある競合他社を評して「弁護士だらけだ」と言った。その理由とは、言うまでもなく知的財産を保護するためである。
一方、Openadsは会社の内外で地球最強の開発チームを結成することに心血を注いでいる。コミュニティーこそが新しい知的財産なのだ。Openadsは実際に同社の技術を余すことなく活用できる人材を欲しがっている。
すると、価値の方程式がどのように変わるかお分かりだろうか。
実際には、3時間近くにも及んだ夕食の席で知的財産のことなど全く話さなかった。ライバル企業や顧客から盗むという話など一言も出なかった。代わりに話したのは、競合他社を徹底的にたたきのめしながら顧客にいかに価値を提供するかである。技術を(「自由」と「無償」という二重の意味においてフリーに)提供しながら、なおも多額の金を儲けるのがどんなに愉快か読者には想像もつかないだろう。