仮想化ソフトを活用してサーバを統合することへの注目が集まっている。データセンターで数十から数百のサーバを運用管理している中堅・大企業にとっては、十分検討に値することだ。
仮想化ソフトによるサーバ統合は、ハードウェアとソフトウェア、加えて人件費なども加味した、情報システムに対する総所有コスト(TCO)を削減できる手段として注目を集めている。しかし実際に物理サーバの上に数多くの仮想サーバを運用管理するのは、それはそれで“複雑さ”を伴う作業になりかねない。
そうした複雑性への解決策として、アボセントジャパンではこのほど、サーバ管理ツール「DSView3」で物理サーバと仮想サーバを一元管理できる機能を追加したことを発表、この10月にも出荷を開始する予定だ。
現在、仮想化ソフトで統合されたサーバは、物理サーバと仮想サーバを別々の画面に表示して、管理せざるを得ない。現に、仮想サーバを運用しているユーザー企業では、そうした事態に対して不満が聞こえてくる。今回の機能追加は、そうした不満に対応したものである。
DSView3が対応する仮想化ソフトは、VMwareのハイパーバイザー型「VMware ESX Server」と仮想サーバを管理するためのツールである「VMware VirtualCenter」になる。DSView3では、ESX Serverによる、あるいはVirtualCenterで管理される仮想サーバを、物理サーバとともに同じ画面上で管理できるのである。
今回の機能追加で管理できるのは、ESX ServerとVirtulaCenterのみ。そのほかの主要な仮想化ソフトであるマイクロソフトの「Microsoft Virtual Server」とXenSourceの「Xen」には未対応となっている。アボセントでは、「Virtual ServerとXenには今後対応する方針」としている。これは、現在最も活用されている仮想化ソフトがVMware製品であることを考えると、実用的な選択と言えるだろう。
仮想サーバは物理サーバの中で、その稼働区域を変えることにもなり得るが、DSView3は、そうした動きもトラッキングして表示することもできる。こうした機能によって、運用管理者は、仮想サーバが物理サーバのどの区域で稼働しているか、反対に物理サーバでどの仮想サーバが稼働しているか、そのどちらも把握することができるのである。
また、運用管理に複雑性を生じさせる仮想サーバの運用管理では、セキュリティ面での問題も管理の対象となる。この点についても、DSView3では、仮想サーバと物理サーバの両方から、イベントやアラートなどの情報を収集するとともに、アクセス管理・権限管理を単一のインターフェースで行うことができるようにもなっている。
なお、DSView3の今回の機能追加では、仮想化への対応とともに、ブレードサーバにもアクセス、コントロールが可能になっている。サポートしているブレードサーバは以下の通りだ。
- IBM:BladeCenter、BladeCenter T、BladeCenter H、BladeCenter HT
- デル:PowerEdge 1855、PowerEdge 1955
- HP:BladeSystem c-Class、BladeSystem p-Class
アボセントでは、これらに含まれていない日本メーカー製のブレードサーバについては「その都度、対応していく」という方針を説明している。