「フェムトセル」で家の中に携帯基地局が出現?

文:Tony Hallett (Silicon.com) 翻訳校正:アークコミュニケーションズ、坂野裕史

2007-10-12 08:00

 携帯電話の新しい接続方法として期待されているフェムトセル。フェムトセルのしくみと利用者のメリット、通信事業者の動向についてQ&A形式で紹介する。

--フェムトセル?「オースティン・パワーズ」の007のパロディには興味ないんだけど。

 ご冗談を。

--じゃあどういう意味なの?

 フェムトセル(Femtocell)っていうのは小型の携帯電話基地局のことで、ピコセル(Picocell)と呼んでいる会社もある。これで携帯電話が家庭やオフィスのブロードバンド接続につながるんだ。

--目的は何なの?

 要するに、携帯電話網の端の方でサービスを利用できる場所を増やそうということなんだ。

--でも、自分の携帯電話は家の中でも、庭の隅にいてもちゃんと使えるんだけど。

 君の場合はそうかもしれないが、そうじゃない人もいる。携帯電話事業者は、3Gについては誰もが確実にサービスを利用できるようにしたいと考えているんだ。

--じゃあこれって田舎に住んでる人に向けたものなの?

 人里離れたところにいる人だけじゃなくて、混雑したビルの中で、3Gの電波がオフィスの壁を通り抜けられない場合もあるんだ。これは携帯電話事業者にとって嬉しい状況じゃあないし、3Gの許認可やインフラに1000億単位で投資してきたのならなおさらだ。

--じゃあ家の中に基地局を持つことになるんだね?そのことで大騒ぎする新聞もありそうだけど。

 その通りだね。携帯電話業界が家庭用基地局についてあまり口を開きたがらない理由も分かる。今で言うフェムトセルはもともと「アクセスポイント基地局」と呼ばれていた。Wi-Fi用とかのアクセスポイントについて知っているなら、似たような機器だと考えていい。

--今どうしてフェムトセルに勢いがあるの?

 何しろ、携帯電話事業者が端末からの通信を処理する手段の1つになるからね。電話の通信は端末からフェムトセルに行き、ブロードバンドを通って携帯電話網に戻る。普通の基地局をたくさん設置する必要がなくなるわけだ。

--うまい方法だね。でも利用者にとって、サービスを利用できる場所が増えるほかに何が変わるの?

 サービスを利用できる場所が増えるだけでは不十分なら、携帯電話事業者は何か他のニンジンをぶら下げに来るだろう。

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