近頃はLinuxを中心としたオープンソースソフトウェア(OSS)「にも」ミッションクリティカルが求められている。いや、むしろOSS「だからこそ」ミッションクリティカルが求められているのかもしれない。
システムの停止が即ビジネスの停止につながってしまうようなミッションクリティカルなシステムに、OSSを活用すれば、その中にあるすべてのソースコードを読み、問題となる箇所を発見・修正できるからである。
しかし、そうは言ってもLinuxカーネルのダンプ解析機能が活用できるようになってから、まだ日は浅い。Linuxは、本来の意味でミッションクリティカルなシステムに対応できるほどの成熟したOSではなく、成長途上のOSなのである。
ならば、成長途上のOSとも言えるLinuxを含めたOSSに、成熟した技術の塊であるメインフレームの“精神”を持ち込んだら、どんなシステムができあがるのだろうか? そうした取り組みを続けてきている企業の1社がユニアデックスだ。
メインフレームへの危機感
同社のOSS専門部隊の中心人物の一人であり、プロダクト事業グループ ソフトウェアプロダクト統括部OSS推進部長を務める高橋秀樹氏は、同社について「DNAはミッションクリティカルです。時々“やり過ぎじゃないか”と言われるくらいにミッションクリティカルなシステムへのこだわりを持っているのが僕らだと思っています」と語っている。
ユニアデックスは、1997年3月に日本ユニシスから分離独立。日本ユニシスグループの総合ICTサポートサービス企業としてユニシス製品を扱うとともにベンダーフリーというスタンスで、システム構築・ネットワークインテグレーションなどを手がけている。同社の従業員数は約2500人だが、プロパー社員の割合はまだ小さく、そのほとんどが元日本ユニシスの社員だ。高橋氏も2004年に日本ユニシスから移籍している。
その高橋氏は日本ユニシスでメインフレームの開発から運用・保守、果ては改造までを20年もの長きにわたって担当していた。“メインフレーム大国”と言われる日本だが、数年前からオープン系システムへの移行が進んでいる。その流れを間近に感じていた高橋氏は、「メインフレームのビジネスが“右肩下がり”の成長を示す中で、このままメインフレーム技術だけを追いかけていてはメシを食っていけないという危機感を感じるようになった」という。そうした危機感の中で高橋氏が選択したのがOSSなのだ。
基幹業務向け大型IAサーバをLinuxで
成長のタネにOSSを選んだ高橋氏には、当時大きな目標があった。