企業の事業継続計画(BCP)に盛り込んでおくべき10項目 - (page 2)

文:Deb Shinder 翻訳校正:吉井美有

2007-10-23 08:00

#5:重要なデータのオフサイトバックアップ

 BCPを優れたものにするためには、会社の重要なデジタルデータが破壊された際の復旧策も考慮しておくべきである。あまりにも多くの企業が、すべてのデータを細心の注意を払ってバックアップし、そのバックアップをサーバルームに保管している。そういった保管方法をとっていると、竜巻や洪水、爆弾によってビルが破壊された場合に、その(しばしば唯一の)データも失ってしまうことになる。

 重要なデータをリムーバブルメディアにコピーし、それを物理的に異なる場所に保管しておくか、インターネットを介してリモートサーバにバックアップを作成しておく、あるいはその双方を行っておくべきである。また、ユーザーができるだけ迅速に生産性を取り戻せるよう、担当者がデータの保管場所を知っておくとともに、その場所の鍵とパスワードを保持しておくべきである。

#6:バックアップ電源に関する取り決め

 物理的な災害の多くは停電を引き起こすうえに、停電自体も災害となる場合がある。事業継続のために、停電が長期にわたった場合(あなたの会社のUPSがコンピュータやネットワーク機器を稼働させられる時間よりも長い停電の場合も、短い停電の場合も)の対処方法を確立しておくべきである。

 バックアップ用の発電機がある場合には、担当者が発電機への切り替え方法や、燃料についての知識(その発電機は燃料補給が必要なのか、それとも都市ガスで動作するのか?)を始めとした実用的なことがらについての知識を身につけていることを確認しておくべきである。発電機をいつどれぐらいの時間作動させるかを決める際には、コスト面も考慮すべきである。発電機を用いてビルの電力を供給するコストは、電力供給網を用いる場合に比べて格段に高くなる。そのため、BCPの立案時には、発電機を作動させて事業を継続するのではなく、皆を帰宅させて事業を停止した方がよい状況を挙げて検討しておくとともに、誰がその判断を下すのかを決めておく必要がある。

#7:代替通信手段に関する戦略

 会社の電話やインターネット接続が停止した場合、どうやって顧客や社外にいる従業員、緊急サービスなどへの連絡手段を確保するのだろうか?BCPには、携帯電話を保有している従業員の名前とその電話番号に加えて、広域災害の発生時に他の通信手段(アマチュア無線など)があるかどうか、そしてある場合にはその設備がある場所も記載しておくべきである。もしも会社が専用の電子メールサーバを稼働させている場合、主な従業員が定期的にチェックすることのできる代替電子メールアドレス(個人用のアカウントや、ウェブベースの電子メールアカウントなど)を持っているかどうかを確認しておくべきである。また、緊急時の連絡が必要となる場合に備えて、こういったアドレスを他の責任ある従業員が知っていることも確認しておくべきである。

#8:事業を継続するための代替施設

 BCPには、災害によって会社のビルが破壊されたり使用不能になったりした場合に、代替施設で事業を立ち上げる際の計画も記載しておくべきである。最善の策は、いつでも入居できる空き施設を用意しておくことであるが、物理的な事業所が2つ以上ある場合、そのいずれかへと事業を移すことがより現実的な(かつ費用が少なくてすむ)代替策となる。

 また、BCPを策定する際には、引っ越しや操業準備、新たな施設での操業にどれぐらいの費用がかかるかを見積もっておくべきである。

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