フルIPネットワークで、広帯域通信と高セキュリティを実現するNGN(次世代ネットワーク)は、新しい社会インフラとして成長していくことが期待されている。特集の第4回となる今回は、日立製作所のソリューションを取り上げる。ネットワーク機能の高度化を推進し、新たなサービスやビジネスモデルを創出する日立の取り組みを、同社 ネットワーク事業戦略室 部長の平岩賢志氏に聞いた。
キャリア向け、企業向け、そしてトータルソリューションを
日立は、NGNにおける事業領域を「キャリア向けネットワーク事業」、「企業ネットワーク事業」および「トータルソリューション事業」の3つに分割してビジネスを展開している。
平岩氏は、NGNがワークスタイルの変革と市場構造の変化をもたらすとしており、「企業が変化に素早く対応し、生産性の向上と競争力の強化が求められる中、日立は企業向けネットワーク事業において、ネットワークを利用したビジネス環境を改善するソリューションを提供していく」と話す。また、トータルソリューション事業においては、「セキュアで快適なライフスタイルを提供することはもちろんのこと、特にIPv6で先進的な活動を続ける日立では、テレビを中心とした新たな生活環境の提供と生活支援のサービス制御基盤を創出する」としている。
NGN時代に向けて、多くのベンダーは、広帯域かつ省電力なソリューションを提供することを最優先課題としている。日立では、コア、エッジ、アクセスの全ネットワークレイヤにおいて、大容量化と省電力化を推進するという技術開発の方針を打ち出している。キャリア向けネットワーク事業では、光アクセスをはじめ、無線アクセス基地局、光トランスポート、IPトランスポート、ネットワークサービスプラットフォームの領域でビジネスを展開する。
光アクセスにおいては、光ファイバ網を使用したFTTHが普及する中で、北米向けに「GPON」、日本向けに「GEPON」を提供している。これは、ハイビジョン映像を100チャンネル同時に配信できるシステムで、これに加え、インターネット接続、IP電話のトリプルプレイサービスを実現する。
無線アクセス基地局システムは、「CDMA 1xEV-DO Revision A」をKDDIに提供している。これは、Rev.0に比べ、上り速度を大幅に高速化した製品で、プッシュトークやシンクライアント向けの利用を想定している。光トランスポートにおいては、WDM光伝送を実現する「RODAM」、IPトランスポートでは、同社とNECの合弁企業であるアラクサラネットワークス製のハイエンドルータが国内シェアの18%を占めている。