一方、企業ネットワークに対しては、QoSとセキュアな環境を保証するNGNサービスを活用し、企業の生産性を高める情報システムの構築を支援していく。この中で日立は、業務全般にSOAを適用したシステム構築を可能にする「Cosminexus」を提供している。Cosminexusは、サービスアプリケーションやビジネスプロセスの統合と、NGNのUNI(ユーザーネットワークインタフェース)をサポートすることで、NGNが提供するQoSやVPNサービスとの連携を強化するミドルウェアだ。
また、2007年4月には、フロアスペースの有効活用とコミュニケーションの活性化で業務効率の向上を図る「ワークスタイル改革ソリューション」を発表した。これは、日立グループ自ら実践しているフリーアドレス環境を実現するソリューションで、コンサルティングをはじめ、システムの導入、施工、運用を提供する。顧客のニーズに合わせたバーチャルコラボレーション環境を加速させる取り組みも行っている。
放送と通信の融合もサポート
日立が「トータルソリューション」と位置づけている事業においては、インターネットテレビを中心とした放送と通信の融合や連携に関わる映像サービス提供ソリューション事業を軸に、生活支援サービスなどを展開していく。
映像サービス提供ソリューション事業で提供するのは、ネットワーク事業者に向けた超大容量ストレージや高解像度映像を150本同時配信できる「Videonet.tv」などだ。また、家庭向けには、コンテンツの検索システムを提供している。さらに、さまざまな端末から個人のニーズに合わせて各種設定変更ができるプラットフォームも試作中だという。
生活支援サービスとしては、サービスプロバイダが提供するサービスセンターと宅内に設置されたホームゲートウェイをNGNでつなぐサービス制御基盤を提供する。この基盤を活用することで、NGNを通じた安全で快適な情報のやり取りができる。日立は、ヘルスケアやホームセキュリティコントロールに応用したサービスをNTTのトライアルで検証中だ。また、アプリケーションサービスを提供するプラットフォームと、NGNとホームネットワークを接続するプラットフォームの一体化をねらった「ホームネットワークステーション」も開発している。
さらに、ヘルスケア分野でもNGNを使った新サービスが提供できる。例えば、宅内の健康機器から取得した情報をサービスセンターに転送して管理する際、NGNであればプライバシー情報を安全かつ確実に転送できるからだ。同様に、ホームセキュリティ分野でも、自宅にウェブカメラを設置し、遠隔地のPCから留守中の自宅を監視できる仕組みを提供する。
平岩氏は、「日立のNGN関連ビジネスは拡大傾向にあり、2010年までに連結の売上高を5000億円と見込んでいる。われわれはこの分野におけるビジネスコンセプトをuVALUEと呼んでいるが、ビジネス、生活、コミュニティにまたがる各領域が相互に連携するユビキタス社会において、常に新しい価値を提供していきたい」とした。