――削減できないオペレーショナルリスクはなんですか?
羽柴氏 我々が提供するソリューションは、リスクを定量化しますが、リスクを削減することはできません。リスクを減らすための投資対象を判断する材料を提供することが役割です。
荻島氏 オペレーショナルリスクの場合、会社が存続する限り、リスクを無くすことは不可能です。我々は、リスク量を計り、積み立てておくべき自己資本を決定するためのソリューションを提供しています。
――両社が考える顧客にとってのメリットはなんですか?
羽柴氏 我々から東芝ソリューションにアプローチしたのですが、Base II規制に対応したサービスを連携して提供することで、金融業界への取り組みを強化しました。導入時から、データ収集などの定性管理とリスクを計量化する定量管理を一元的にできるので、顧客にとって時間とコストを削減できます。
また、オペレーショナルリスクを計測するとき、金融機関は、「基礎的手法」「粗利益配分手法」「先進的計測手法(AMA)」の3つの手法の中から最も最適な手法を選択することができます。高度な手法を採用するほど金融機関にとって対外的なアピールになりますが、AMAを支援する我々のソリューションを採用することで、そのメリットを享受することができます。

荻島氏 我々は、オペレーショナルリスクの定性管理におけるソリューションを提供していますが、リスクを定量化する分野にも参入するべきだと認識しています。しかし、オペレーショナルリスク管理の分野は、需要が急速に伸びているので、顧客のニーズに対して迅速に対応するためには、定性化の分野にリソースを集結し、完成度を高め、実績のあるSASの製品と連携する方が、顧客にとっても、我々にとっても得策だと考えました。
――一般企業のRCM(リスク コントロール マトリックス)と金融業界のオペレーショナルリスク管理のコンプライアンスにおける違いはなんですか?
荻島氏 J-SOXのRCMは、財務報告書に影響を及ぼすような業務上のリスクとコントロールの関係を評価することが目的です。オペレーショナルリスク管理は、これらのリスクをはじめ、ほぼすべてのプロセスリスクを含む概念。一般企業には、オペレーショナルリスク管理に関する法律がないので手つかずな状態です。我々のソリューションは、金融業界に限らず、一般企業にも適用できると考えています。
――ターゲットと製品の価格帯を教えてください。
羽柴氏 製品は、東芝ソリューションが優良地銀をターゲットに販売する形態をとっています。7000万円から導入可能です。
――将来の展望を聞かせてください。
羽柴氏 我々は、販売スキームに不安を抱えていましたが、提携によってその体制を強化できました。協業においては、オペレーショナルリスク管理の分野で、付加価値を追加する機能を開発していきたいです。
荻島氏 各行がAMAへの対応に戸惑っている状況だと認識しています。この分野の先駆者となり、新しい解決策を提案していきたいですね。