製造業者の業務プロセスにおいて、開発分野と並んで改善利益機会の大きいアフターサービス分野へのITソリューション適用が注目され始めている。その中で、BI(ビジネスインテリジェンス)大手のSAS Institute Japanは、この分野へ本格的に乗り出す方針を打ち出した。同社 ビジネス開発本部 ソリューションビジネス開発2部長の山下克之氏にそのねらいを聞いた。
――アフターサービス分野に参入する理由はどこにあるのでしょう。

成熟した製造プロセスにおいて、製造や組み立て領域でコストを削減することは困難ですが、最適化が不十分なアフターサービスの分野は大きなポテンシャルを秘めています。米調査会社のAberdeen Groupも、アメリカの優良な製造企業において、アフターサービス分野は総売上の28%、総利益の38%を生み出していると発表しています。
SASはサプライチェーンにおいて、経理システムをはじめ、マーケティング、R&Dおよびアフターサービス分野を含む生産ラインに関わるソリューションを提供してきました。それは、SAPやOracleのERPシステムに取って代わるものではなく、機能の不足を補い、オペレーションの効率化と省力化を実現するためのソリューションです。リスク管理の観点から、アフターサービスは重要な分野だと認識しています。
――SASの提供するアフターサービスソリューションについて教えてください。
SASのソリューションは3つです。まず、Service Parts Optimization(SPO)。これは、製品ライフサイクルにおける補修部品の需要を予測することで、在庫量や発注量を最適化し、サービス率を高めながら在庫が削減できるというものです。次に、SAS Warranty Analysis(SWA)。これは、製品や部品の故障原因を早期に発見し、品質の向上や補償コストの最小化を図ります。最後に、Service Operation Optimization(SOO)。これは、コンタクトセンターを支援するソリューションで、さまざまなKPI(重要業績達成指標)を実装しています。ダッシュボードを作成し、オペレーターのパフォーマンスを管理することや、コール内容を分析することで、顧客のニーズに合わせたサービスを提供することができます。
――サービス率を上げることと、在庫を削減することはトレードオフの関係ですが、どのように実現するのでしょうか。
高いサービス率を実現することを目的に、サプライチェーン全体の最適化を図ります。在庫保有コスト、発注コスト、目標サービス率などのさまざまなデータをシステムに投入することで、到達可能なサービス率と拠点ごとに最適な在庫基準および発注基準を算出します。また、倉庫や代理店が抱える在庫量を、高く、広い階層にわたって最適化できるので、目標のサービス率に限りなく近づけることができる。これは、SASだけが提供できる機能です。