NECとEMCは1月9日、共同開発したストレージを製品化し、両社それぞれのブランド名で同日より販売開始すると発表した。エントリー向けの製品で、100万円を切る低価格で提供する。
今回の発表は、両社が2006年4月に締結した戦略的アライアンスに基づいたもの。このアライアンスで両社はこれまで、国内のストレージSIビジネスにおいて協業を強化したほか、2007年4月には共同開発したコンテンツ管理ソリューションを発表、また同年6月にはNECの「WebSAM」およびEMCの「Smarts」といったミドルウェア製品の共同開発および相互供給などを行ってきた。
EMC グローバルサービス 兼 リソース管理ソフトウェアグループ プレジデント 主席副社長のHoward Elias氏は、「これまでは概念的な話やソフトウェアなどで協業を進めていたが、今回やっと目に見えるハードウェアを発表することができた」と話す。
新製品は、中堅中小企業に向けたエントリーストレージとなる。100万円以下というローコストながら、ホストインターフェースにはファイバチャネル(FC)に加えiSCSI(Internet Small Computer System Interface)をサポートし、最大64台のサーバに接続可能。また、WindowsやLinux、Unix、さらにはVMware ESX Serverなど混在した環境に対応する予定だ。
NECは「iStorage E1」として、EMCは「CLARiiON/CLARiX AX4」として新製品を販売する。両社の販売経路についてNEC 執行役員常務の丸山好一氏は、「NECは、PCサーバの『Express』シリーズが好調で、中堅中小企業での利用が進んでいる。新ストレージもExpress用ストレージとしての活用を視野に入れているため、このチャネルを使って販売したい。EMCは大企業の顧客が多いため、NECの販売チャネルと重なることはない。両社の得意領域で販売することで、自然と販路がすみ分けられる」としている。
EMCはミッドレンジストレージ分野でDellとも協業している。この点についてElias氏は「Dellも非常に大切なパートナーだ。ただし、Dellとの協業の目的は市場を拡大するためのもの。Dellとの関係は友好で今後も続くが、NECとの関係は共同開発も行うという点で違う」と説明する。
EMCは、エンタープライズおよびミッドレンジクラスのストレージビジネスにおいてワールドワイドで高いシェアを誇っているが、Elias氏は「今回の新製品で中堅中小企業分やでもナンバーワンをねらう」としている。また、丸山氏は国内でのシェアの目標について「3年後には両社合わせて国内シェア30%を確保し、トップとなりたい」と述べた。