先ごろ、Benchmarkは「Ruby on Rails」アプリケーションの商用サポートを提供しているEngine Yardに350万ドルを投資したと発表した。Engine Yardは年間売上高が300万ドルの事業を展開しており、成長を続けている。また利益も上げている。したがって今回の投資は必要なかった。
しかし、この投資は非常に印象的である。世界有数のベンチャーキャピタル企業の1つがサポートモデルを支援するために現金を投資することの意義は大きい。その企業(またはその投資家ら)がかつてJBoss、MySQL、SpringSource(旧Interface21)などのサポートを主体としたオープンソース企業に投資した経歴を持っていることを考えるとなおさら意義深い。
これはすなわち、業界のその他すべての企業が無視することを決め込んだように見える何かをBenchmarkが知っていることを意味するのかもしれない。つまり、サービスを主体とした事業が将来ソフトウェア産業の中心になるかもしれないということだ。
金をもうける唯一の方法は知的財産を厳重に保護し、それに対するアクセスに課金することだと信じている人にとって、Benchmarkがまったく異なるビジネスの発想法とモデルで成功している事実は大いに参考になる。成功企業とは、豊富性の中に存在する希少性を発見する企業である。Engine Yardにとってそれは単純なことだった。
Engine Yardは2006年前半に創設されたが、その理由は正真正銘のニーズが存在することを見いだしたからである。顧客はビジネスクリティカルなRailsアプリケーションを開発していたが、導入の諸問題に煩わされたくなかったし、サーバを管理するためにITスタッフを雇いたくもなかった。顧客は優れたインフラストラクチャに加えてRailsに特化した週7日/1日24時間対応のサポートを望んでいたし、さらに100ユーザーから10万ユーザーへのスムーズなパスも必要としていた。
顧客はプロプライエタリなソフトウェアは望んでいなかったようだ。事実、Ruby on Railsに移行した多くの顧客は、むしろかなりの度合いでその逆を望んでいた。しかし、それは彼らがすべてのものが無償で手に入ると期待していたという意味ではない。Engine Yardにとってチャンスがあるとすれば、Ruby on Railsを採用して成功するために必要なサービスが何であるかを見つけることである。Googleは、ウェブ上に膨大な量の情報が存在することから、ウェブという干し草の山から針を探すのを手伝ってやれば人々は(広告を通じて)金を払うということを見いだした。それではEngine Yardは何を見いだすのだろうか。