GmailのSSLモードにもサイドジャックの危険性

文:Larry Dignan(ZDNet.com) 翻訳校正:石橋啓一郎

2008-02-01 17:16

 Robert Graham氏が2007年のBlackhatでウェブ2.0が安全でないことを示した際にも、少なくともGoogleのGmailのSSLモード(HTTPS)はサイドジャックを受けることはないだろうと考えられていた。しかし、この思いこみはGraham氏の最新のブログ記事によれば間違いだったようだ。SSLを使っていても、Graham氏のツール『Hamster』や『Ferret』を使えば(あるいは手順は難しくなるが、『Wireshark』とMozillaのクッキーエディタを使っても)、Gmailのセッションを乗っ取ることができる。

 サイドジャックはGraham氏が同氏のセッション乗っ取り手法を説明するときに使う言葉で、この手法を使うと、ユーザーがパスワードを再入力しなくてもアカウントに自動的にログインできるように保存されたクッキー情報を使っている、ほとんどすべてのウェブ2.0アプリケーションを破ることができる。任意のラップトップを使って無線の信号を受信し蓄えることで、攻撃者は複数のユーザーのクッキーを入手することができ、そのユーザーのウェブ2.0アプリケーションを利用できる。実際にはパスワードはクラックも盗難もされていないにも関わらず、クッキーがGmail、Hotmail、Yahooなどのウェブ2.0アプリケーションへのアクセスを得るための一時的な鍵の役割を果たす。攻撃者はユーザーがAmazonでどんな本を注文したか、Googleマップでどこに住んでいるかといったことを知ったり、電子メールのsubject行のアカウントから電子証明書を入手したり、他にも多くのことができる。

 SSL httpsモードのGmailではすべてが暗号化されるため安全だと考えられていたが、GmailのJavaScriptのコードでは、httpsが使えない場合、暗号化されないhttpモードにフォールバックすることがわかった。これは実際によくあるシナリオで、無線LANのホットスポットにラップトップを接続して、ユーザーがサインインする前にGmailを開くと、ラップトップはGmailに接続しようとするが失敗する。この時点で、GmailのJavaScriptは暗号化されていないhttpモードでの通信を試み、もしそこで誰かがデータを捕まえたらゲームオーバーというわけだ。

 本当に残念なことは、Google Gmailはウェブ2.0アプリケーションの中で「ましな」ものの1つであり、それでもユーザーが実際にSSLモードを使うことを選択している場合にさえセキュリティが正しく守られないということだ。MicrosoftのMSNとHotmailやYahooなどの他のアプリケーションはSSLモードを持ってさえいない。それらのアプリケーションは最初の認証とサインインの際にSSLモードを使っているが、ユーザー認証が終わるとすぐに暗号化されていないモードに移行してしまうため、意味がない。

 現時点では、データリンク層のセキュリティを備えた安全な無線LANを使っているか、VPNを使っていてすべてのトラフィックをVPNゲートウェイ経由で流しているのでなければ、暗号化されていない無線LANではクッキーを使うどんなウェブアプリケーションもサイドジャックの対象になるということだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]