Microsoftと米Yahooの企業文化の違いを考える場合、オフィスの間取り以外のことはあまり考える必要はない。
Microsoftは複数のオフィスで構成され、各オフィスでは個々の社員が、集合的プロジェクトの中から自分に割り当てられた仕事を懸命にこなしている。対照的にYahooはシリコンバレーの典型的な企業で、各社員はパーティションで小さく区切られたスペースで仕事を行い、社員同士が共同で作業することが多い。
またMicrosoftの社員は、社内外の人に対しても当たりが強く、競争的なことで知られる。一方、Yahooの社員はより協調的で、時に協調の度が過ぎて非効率に陥ることすらある。
また両社の哲学にも違いがある。Yahooはオープンソースを大々的に支持してきたが、Microsoftは消極的な姿勢を取ってきた。
440億ドルもの大金をつぎ込もうとしている企業にとって、このような企業文化の違いを考慮することは重要だ。無論、Microsoftがこの段階に達するまでには、多くのハードルをクリアする必要がある(Yahooの取締役会や株主の承認を得た上で、さらにYahooの買収が独占禁止法違反に当たらないという当局のお墨付きを得なければならない)。しかし、これらはMicrosoftが解決すべき問題であり、恐らく同社は、現在解決に向け取り組んでいることだろう。
MicrosoftのKevin Johnson氏はインタビューの中で、MicrosoftとYahooはともに「技術革新にかける情熱」を持っていると語った。恐らくその通りだろう。しかし、すべての企業、少なくともすべての優良企業は情熱を持っているものだ。また両社はともに、アイデンティティクライシスに陥っているとの批判も受けてきた。
Microsoftは、TellmeとaQuantiveの買収から多くを学んだとJohnson氏は語る。ただ、それら2社の買収とYahooの買収とでは規模に大きな差がある点は同氏も認めている。
Johnson氏は「買収プロセス自体は間違いなく変わらない」とした上で、「ただ、(Yahooの買収には)TellmeやaQuantiveの時よりも、より複雑な統合計画が必要になる」と付け加えた。
Tellmeらの買収とYahooの買収との大きな違いの1つは、YahooとMicrosoftは製品面でかなり重複している点だ。両社はそれぞれ独自の広告プラットフォームを持ち、さらにホームページ、インスタントメッセージングプログラム、メールプログラム、コンテンツサイトでも競合している。
この重複は、プラスとマイナスの両方に働く可能性がある。プラス面は、YahooとMicrosoftのどちらかの技術を選択することにより、優秀な技術者がそれまでの業務から解放され、新たに別のプロジェクトに取り組めるようになることだ。