日本オラクルは3月3日、需要計画ソリューションの最新版となる「Oracle Demantra 7.1.1」の提供を開始したことを発表した。
生産・販売のグローバル化や顧客ニーズの多様化、製品ライフサイクルの短期化などの環境の変化から、製造業での需要予測はますます難しくなっている。個人の経験則に基づいた属人的な予測・目標設定を続けた結果、供給計画と実際の需要との間に大きなギャップが生じて、販売機会を損失、あるいは過剰在庫を持ってしまうなどのケースが増えてきている。
つまりは、販売・製造・流通の各部門がそれぞれ独自に計画を立案し、調整会議を通して全社方針を遂行していくという従来の方法では、グローバル化・スピード化する現在のビジネス環境に対応することが困難になっている証左である。先に挙げたような問題のほかに、たとえば、需要予測が販売・オペレーション計画にひも付けられていない、需要予測が行われていても収益性は考慮されていない、需要を喚起・形成するための販売促進の方法論がない――といった問題も発生しやすい状況となっている。
Oracle Demantraは、企業の基幹系システムが生み出す情報を基盤に、需要と供給の状況を収集して、需要を予測・管理、需要変動へのリアルタイムの計画調整と需要形成計画の管理を行うというソリューションになる。中長期的には、計画立案を支援するための需要計画だけでなく、日次や週次での需給バランスを最適化した販売・オペレーション計画の策定・更新が可能であることから、需要主導型で計画値を共有する部門間・組織間のコラボレーションが実現できると、日本オラクルでは説明している。
Oracle Demantraを導入することで、これまでのような「販売計画ありき」の企業体制から、まずは需要を正しく理解したうえで計画を立案することができるようになる。ここでは、過去の実績や複数の因果要因の統計学的な数値を「ベイズ統計−マルコフ予測」と呼ばれるモデリング技術で分析、需要予測を算出することになる。
またOracle Demantraでは、過去の実績や将来の需要・供給データを一元的に管理できるとともに、たとえば販売や製造、マーケティング、財務、外部のサプライチェーンなどの部門間・組織間で計画を共有できるようになっている。関係する部署すべての連携を実現するためのワークフローを定義することで、策定された計画を全社を一貫するリアルタイムのプロセスとすることができるのである。
全社一貫のプロセスにすることで、販売予測や営業計画、販促計画などをひとつの環境で統合的に管理できるようにもなっている。これによって、販促活動の有効性や商機の獲得、収益性の検証などをトータルに支援できるようになっていると同社では説明している。
Oracle Demantraは以下の機能から構成されている。
- 需要管理(Demand Management):リアルタイムの需要予測、コラボレーションによる予測精度の改善、包括的な例外管理と監査証跡、実績管理の統合、新製品投入時の需要予測
- 高精度予測・需要モデリング(Advanced Forecasting and Demand Modeling):個別原因の貢献度・相関関係を計算、表示
- リアルタイム販売・オペレーション計画(Real-time Sales and Operations Planning):需要と供給のバランス、販促計画でマーケティングとサプライチェーンを同期化、営業・財務・オペレーションを結束する計画プロセスで同化
- 販促計画(Predictive Trade Planning):販促内容を定義、売上増加率を計算・表示
- 販促最適化(Trade Promotion Optimization):ROIを最大にする販促計画を提示
- 割引管理・決済管理(Deduction and Settlement Management):支払い条件に基づいた売掛年齢管理