2005年7月にマイクロソフトの代表執行役社長に就任したDarren Huston氏は、就任と同時に日本における同社の経営方針として「Plan-J」を立ち上げた。「Plan-Jの成果には満足している」と話すHuston氏だが、「達成しきれなかったことがある。それは、ITエンジニアへの支援が足りなかったことだ」と明かす。
マイクロソフトは3月5日、ITエンジニア向けの支援活動を強化すると発表した。同社は2006年8月より、ITエンジニアを対象とした施策「Power to the PRO」に取り組んできたが、「いまだエンジニアは不足しており、長時間勤務でスキルの向上に時間を割く余裕がないほか、言語的な課題もある。しかし日本は世界のイノベーションをリードする重要な市場であり、エンジニア支援が欠かせない」(Huston氏)として、支援活動の次のステップとなる「Power to the PRO Next」を展開する。
これまでPower to the PROでは、「MSDN」や「Microsoft TechNet」を通じたオンラインによる技術情報の提供や、ITPro道場などのセミナーによるオフラインでのコミュニケーション、資格試験などを通じたスキル獲得支援に加え、ITコミュニティ支援団体との連携により、企業や組織の枠を超えたコミュニティの確立などに取り組んできた。新たな施策では、エンジニアの声に耳を傾け、これまで要望の高かった日本語の技術情報の充実など「実務に即した本質的な支援を強化する」と、4月より社長の役目を引き継ぐ代表執行役 兼 COOの樋口泰行氏は述べた。
具体的には、まず要望の高い技術資料1万ページを今後6カ月で翻訳する。また、TechNetおよびMSDNフォーラムと「答えてねっと for Business」において、気軽に質問や相談ができるよう、専任エンジニアの配置などを含めた新しいサービスを6月より開始する。さらに、は中小企業のITエンジニアを対象に製品の評価版や技術書籍などを提供する取り組みを4月に発表する。
樋口氏は、社長就任発表の記者会見場でも「エンジニア支援に注力したい」と話していた。新施策の発表にあたり同氏はあらためて、「大学では情報工学科の人気も下がり、技術職が3Kと呼ばれるようになってしまった。今後エンジニアにもっとスポットライトをあて、優秀な人材を大切にしなければならない。これは業界全体の問題だ」と述べた。