mPediaのこうした活動は、Linux自体にも影響力を示しつつある。まだ具体的な成果とはなってはいないが、Linux標準化団体のThe Linux Foundation Japanとのコラボレーションが始まりつつあるからだ。今後、mPediaとThe Linux Foundation Japanのコラボレーションが何らかの形となって、その成果が見られるはずだ。
報告書では、今後の課題として先に挙げた(1)検索ヒット率/役立ち率の向上、のほかに(2)バザールモデル型での利用者拡大、(3)mPediaの運用/維持――を指摘している。
(2)については、mPediaのコンテンツが継続的に追加・更新されていくためには、「コンテンツの作成に対してWikipediaのような敷居の低さが必要」と分析した上で、「mPediaのインフラ自体に参加者の意欲を喚起するような工夫を機能として提供していく必要がある」としている。また(3)については、「書き込みの自由度を高めることにより、悪意の書き込みに対する監視/管理がサーバ管理者の大きな負担となる」とした上で、「書き込みの自由度を低く抑えた場合、mPediaの更新頻度は低下し、mPediaの衰退につながる可能性が高い。運用管理には多くの課題が存在する」と分析している。
また報告書では、「OSSの普及は、OSS技術者不足の現状を踏まえるとエンドユーザー主導ではなかなか進みにくい」と、日本国内におけるOSSを取り巻く現状を鋭く指摘している。
その上で「mPediaの有効活用はOSSを支援/活用する人々に広く利用され、現場レベルで役に立つ情報を提供できるようになって初めて実現する」と説明し、「OSSに関わる人たちの間でmPediaが一つのコモディティツールに発展し、mPediaの存在がミッションクリティカル領域におけるシェア拡大につながることを強く期待したい」と結んでいる。