少し前まで、人、場所、ものを「ググる」ことはできなかった。
しかし、Googleはほんの10年のうちに、ガレージで事業を営む新興企業から巨大なウェブ企業へと飛躍的に成長し、Googleという言葉は、名詞はもちろん動詞としても使われるようになったとCBS Newsの科学技術担当記者であるDaniel Siebergは指摘する。
Googleは9月7日に創立10周年を迎えたが、Googleの台頭に関するベストセラー「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた(原題:The Search: How Google and Its Rivals Rewrote the Rules of Business and Transformed Our Culture)」の著者であるJohn Battelle氏が指摘するように、Googleは「Xeroxと同様、文化の一部」になった。
Battelle氏は、「google」という動詞は、あっという間にあらゆるテーマをすばやく学ぶことと同義になったと述べている。
「あらゆるテーマに精通するための知識がインターネットに存在すると言っても過言ではない。Googleはそれらをうまく整理している」(Battelle氏)
Siebergは、「『良い』という評価は控えめかもしれない」と指摘する。今日、ほとんどの人がGoogleを利用しており、ほかの検索エンジンを圧倒している。
もちろん、常に現在のような状況であったわけではない。
「Googleは初めての検索エンジンではなかった。ただ、ほかよりも優れていただけだ」(Sieberg)
LycosやAltaVistaを覚えているだろうか。
一時期はYahooが検索市場を制覇したが、Googleは、Yahooの覚えやすい名前と多額の広告をものともせずに、コマーシャルを1つも放映することなくほとんど口コミで主流にのし上がる実力を持っていたとSiebergは述べる。
2005年1月、Googleの共同設立者であるSergey Brin氏は、CBS Newsの番組「60 Minutes」で、「当初は、数人の友達にGoogleを紹介し、ウェブサイトにアクセスして検索エンジンを試してもらった。その後、人々が次第にGoogleを利用し始めた」と述べた。
Brin氏とGoogleのもう1人の有名な共同設立者であるLarry Page氏は、スタンフォード大学の大学院生のときに、ガレージで会社を設立した。
両氏は現在、カリフォルニア州マウンテンビューにある通称「Googleplex」で会社を運営している。
従業員は、ビリヤード、プール、バレーボールコートなど、Google特有の福利厚生設備を利用できる。
人事担当バイスプレジデントのLaszlo Bock氏は、「従業員は確かに仕事をしているが、同時に大いに楽しんでいる。人は、私生活では大いに楽しみ、仕事中は仕事に集中できる効率的な環境を欲しているとGoogleは考える」と述べている。
そして、多くの人がそのような環境を望んでいる。Googleには1日で約7000件もの求職申し込みがある。
そのような社内でのひらめきによって、検索以外の無数のプロジェクトが誕生しているとSiebergは言う。とはいえ、「必ずしも優れているわけではない」
Battelle氏は、Googleへの懸念が株価に表れているかもしれないと述べている。Googleの株価は、2004年8月の株式公開時の85ドルから、2007年には715ドル近くにまで上がったが、その後、現在では約465ドルまで下がっている。
「大きな懸念は、Googleは正しい方向を選択できるのかということだ。さほど得意ではない分野を手放して、参加市場すべてで成功を収めることのできる結合力の高い企業になるために総合的に役立つような3〜5のプロジェクトに注力できるのかということだ」(Battelle氏)
Siebergは、流動的な株価に加えて、Googleは、主に検索情報に対するプライバシーの懸念が原因で、世論でも浮き沈みを経験していると述べている。
というわけで、創立10周年を迎えたGoogleはある意味、今なお道を模索しているとSiebergは結論づけている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ