Notesをなくすことで生じる「新たな役割」と「継続すべき役割」
これらの取り組みを通じて土山氏は、IT部門としての「新たな役割」と「継続すべき役割」の両方が明らかになったと分析する。
「新たな役割」とは、Notes運用の際には存在しなかった「コンテンツの運用管理」という新たな負担が発生したことだ。「ウェブポータルの利用率が上がらない」「コンテンツ運用をどのように進めればいいのかが分からない」「部分的ではなく横展開を図りたい」といった課題だ。
そのため、伝えたい情報が確実にユーザーへ伝わるような見せるコンテンツの企画・作成や、コントロールされた状態でのユーザー自身によるDB開発、さらには作成したコンテンツの鮮度維持のための更新作業、導入前後の教育などが不可欠になったという。
また、「継続すべき役割」とは、ユーザーへの啓蒙や支援の推進だ。その位置づけは、以前よりさらに重要になっているという。コクヨグループでは、各事業会社にポータル推進責任者(主に役員や企画部門長クラス)と推進担当者(現場のポータルキーマン)を任命し、先行教育することで社内システムの宣伝・開発担当として活躍してもらうことを目指した(図4)。
さらに、グループ広報部や各事業会社の統轄部門を巻き込むことで、IT部門が行うシステム自体の運用管理とコンテンツの運用管理の機能を分けた。コンテンツ部分の運用管理を任せることで、双方の協力体制が奏功したという。
土山氏は「Notes移行とは、Notes一辺倒の意識を変えること。現場の強い反発があったり、時間をかけたユーザー教育が必要になるなど、道のりは決して平坦ではない。だが、そこにあえて踏み込むことで、Notesではできなかった新たな可能性が開ける。数年後の現場の笑顔を信じて、粘り強く頑張ってほしい」と、Notes移行に関して悩みを持つ企業にエールを送った。
