仮想化ソフトはVMwareを選択
TISとの協議の中でTISの担当者が提案してきたのが、仮想サーバの構築だった。仮想化技術によるサーバ統合は市場で脚光を浴びていたが、まださほど事例は多くはない。ましてフランスベッドメディカルサービスのように、まさに企業の根幹に関わる基幹業務システムでの導入は前例がない。
しかし、移行コストや移行期間という問題を考えたとき、それが冒険ではあっても、同社にはそれが大きな選択肢として浮かび上がってきた。TISはIAサーバで特に実績のあるヴイエムウェアの仮想化ソフトウェアスイート「VMware Infrastructure 3」の採用を提案。それに対し池田氏は「VMwareには“P2V(Physical to Virtual)”という移行方法があるということが分かり、現在ある構成をそのままVMware上に載せることができるということになりました。数時間で移行できるという話でしたので、それはいいじゃないかということになったのです」と全幅の信頼を寄せた。
社名 | フランスベッドメディカルサービス株式会社 |
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本社 | 東京都新宿区百人町1-25-1 |
創立 | 1963年4月20日 |
資本金 | 1億8037.5万円 |
事業内容 | 介護用ベッド、福祉介護用品の販売・レンタル |
従業員数 | 642人 |
URL | http://www.homecare.ne.jp/ |
P2Vは、既存のサーバOSやソフトウェアを仮想化環境へ移行するというもの。専門技術者が移行ツール「VMware Converter」(ヴイエムウェア提供)を使って行うが、仮にこの方法で失敗しても“P2P(Physical to Physical)”という新しい物理サーバに移行するというリスクヘッジが取られている。システム課のスタッフを安心させる方策だった。
もちろん、その間システム課でも独自に仮想化についての検討を行っている。これに対し、メーカーである日本HPもブレードサーバと仮想化の組み合わせを大々的にアピールしていた。またIAサーバとVMwareの組み合わせは検証済みという話ももらった。
「可用性に関する不安はありませんでした。後から、“基幹業務システムでよく仮想化(によるサーバ統合)をやった”といわれますが、不安より期待感が大きかったですね。逆に、動かない理由がないと思っていたほどです。もともとのシステムも比較的新しいシステムであり、フルスクラッチで開発したためシステム自体がすっきりしています。そして、TISさんは当社の業務をよく知っています。これはTISさんの話に乗るしかないということでした」(森氏)
保守切れとなったサーバの台数は合計で16台。そのうち3台が「Red Hat Linux」であり、残りの13台が「Windows 2000 Server」である。このうち、サーバ統合に踏み切ったのがWindows 2000の13台だ。