クラウドコンピューティングがすべてではない。Lindsay氏は次のように記している。
当面は、ソフトウェアおよびアプリケーション環境は異機種混在の状態が続くものと予想しており、これはGoogleよりもMicrosoftのビジョンに近い。われわれは、「ユーティリティとしてのコンピュータ」モデルや「ダム端末としてのデバイス」モデルには反対である。これらのモデルでは、アプリケーションはすべてクラウドで実行されるが、現在ベストのネットワークでさえ可用性や信頼度が100%であり、デバイスは自前の処理能力を多少とも備えてさえいればパフォーマンスがはるかに高くなるという前提に大きく依存している。デバイス自体にある程度の処理能力を持たせることで、オンライン処理や接続の負荷を多少軽くし、デバイス自体が接続されていない場合も処理の継続を可能にするというものだ。
Google Appsは興味深いが、大きなビジネスではない。Lindsay氏は次のように記している。
Googleのクラウドコンピューティングによる売り上げ見込みに関する初期の評価は極めて誇張されたものであったと考えている。中には、Googleのクラウドコンピューティングの売り上げは、有料検索広告ビジネスを上回る可能性があるとの意見さえあった。クラウドコンピューティングにおけるGoogleの取り組みやGoogle Appsのようなイニシアチブは、コンシューマーや小規模企業の関心を引くと考えられるが、Microsoft Officeソフトウェア群の10%に取って代わる程度だろうと思われる。
Google検索の売り上げ増分の一定割合を、Google Appsの使用増によるウェブトラフィック増に当てたとしても、2012年までにGoogle Appsの売り上げが15億ドルを超えるとは考えられない。
問題は何か。焦点を絞ることだ。Lindsay氏は、Postiniの買収や、政府および教育分野で取引先を獲得していることについてはGoogle Appsを評価しているが、次のように指摘している。「製品開発チームは、競合企業をブロックするための十分な製品の改善に失敗するといういつものミスを犯しつつあるようで、その兆候がすでに見られる。Googleは2008年9月に、40万台のPCを使用する最重要の取引先であるGeneral Electric(GE)を創業間もないZohoに奪われた」