2009年におけるエンタープライズWeb 2.0--8つの予想 - (page 3)

文:Dion Hinchcliffe(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2009-01-21 08:00

4. 大企業内部での2.0テクノロジの採用も増えていく一方、2.0テクノロジを採用した製品が市場で直面することになる苦闘も続いていくだろう。2008年には、ソーシャルネットワーキングとエンタープライズ2.0が企業内部に浸透していくというグローバルな潮流を目にすることになったものの、市場全体ではオンライン2.0製品にまつわる失敗話も数多く生み出され続けていくだろう。事実上、オンラインでの主立ったサクセスストーリーは、すべてインターネットの新興企業によって生み出されているのだ。昔からある企業で、YouTubeやFacebook、Twitterのように急成長を遂げ、幅広く利用されるようなWeb 2.0製品を生み出しているところはほとんどない。このことは説得力のある企画の数が多くないと言っているわけではなく、市場の期待するレベルを達成しているものが1つもないということを意味している。2009年も、企業が世界最大の単一市場で自らのビジネスを有利に導くための方法を模索し続けるため、こういった状況が続いていくことになるだろう。

5. 経済の状況によって、ITと業務の整合に向けた動きがようやく大きく進むことになるだろう。2009年は、失敗の余地がほとんどないため、多くの企業は組織を再編し、新たな業務上の条件に対応し、新しい収益源を生み出し、長い間存在していた業務的な難関を乗り越えるために、ITと業務の間の溝を埋めようと結束することになるだろう。ITリーダーがこういったことを行おうとしなかったり、新しいソリューションを考え出すことができなかったり、抵抗しようとしたりすれば、企業が業務上の問題を解決するテクノロジの使い方についてより多くの選択肢を得るようになった時に、失職の憂き目に遭うことになるかもしれない。アウトソーシングによって戦略的なパートナーを活用するということは、ITを推進していくうえでの重要なアプローチであり続けるものの、ネットワークを介した顧客との連携(すなわちクラウドソーシングとオープンビジネス(関連英文記事))も、革新的になり、競合他社に差をつけるための方法を模索するような積極的な姿勢を持つ小規模企業にとって重要かつ新しいアプローチとなるだろう。

6. モバイルプラットフォームとモバイル機器は2009年において極めて戦略的な位置を占めることになるだろう。Androidが携帯電話だけではなくコンピューティング機器にも搭載されるようになり(関連英文記事)、iPhoneプラットフォームが大きな進歩を見せ、Blackberryとその新たなオープンアプリケーション戦略が当たり、ネットブックが成長していくことで、従業員の機動力を向上させるビジネスアプリケーションに対する推進力が生まれ、2.0のアプローチを使用した新しいコラボレーションテクノロジやコミュニケーションテクノロジを活用した従業員との連携が強化されることによって、仮想組織が実現されることになるのだ。デスクトップPCが2008年に根絶されなかった環境であっても、2009年には標準的なスマートフォンが従業員の日々のコンピューティング作業やコミュニケーションの多くを支援できるようになるため、デスクトップPCはほぼ完全に時代遅れのものになるだろう。最大の問題はテクノロジではなく、ビジネスを遂行する能力と、組織の従業員がモバイルテクノロジに適応し、自らの業務でいかに活用していくのかということを理解することにある。幸いなことに、OracleやSalesforceのiPhoneアプリといった、モバイル機器で利用可能なビジネスアプリケーションも続々と登場してきている。とは言うものの、2009年はさまざまな種類のモバイル機器がIT戦略における中心となるだろう。

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