日立製作所は1月30日、シンクライアント端末を活用した情報漏洩防止システム「セキュアクライアントソリューション」を強化したことを発表した。シトリックス・システムズ・ジャパンが提供するデスクトップ仮想化ソフト「Citrix XenDesktop」を利用した「統合型」の提供を開始した。
日立がこれまで提供してきているセキュアクライアントソリューションは、(1)同社独自開発のブレード型クライアントPCであるクライアントブレード「FLORA bd」を1ユーザーに1台割り当てる「ポイント・ブレード型」、(2)サーバ上で稼働するアプリケーション仮想化ソフト「Citrix XenApp」(シトリックス提供)でアプリケーションを複数ユーザーが共用する「センター型」、(3)日立が開発した独自のシンクライアント端末のセキュリティPCを活用して、企業外からでも自席PCにアクセスする「ポイント・ポイント型」――の3つだ。
今回追加した統合型は、ポイント・ブレード型とセンター型の両方式を併用できる。XenDesktopに対応したクライアント統合管理ソフト「FLORA bd Link」を新しく開発して、セキュリティPCからFLORA bdを操作できるとともに、XenApp上で稼働するアプリケーションも操作できるようになっている。電源がオフとなっているFLORA bdはセキュリティPCからの接続で自動的に起動することもできる。
これにより、さまざまなアプリケーションを使う、非定型業務に向いたポイント・ブレード型と、特定のアプリケーションで済む定型業務に向くセンター型のどちらでも使えるようになっている。ユーザーの業務拡大に応じて、システム構成を柔軟に拡張・追加することができる。
日立によれば、今回の統合型を利用すると、企業内クライアントPC環境の導入・運用に関連する総所有コスト(TCO)は、一般的なものに比べて約26%削減可能になるとの試算を出している。
システム管理者へのメリットとして、XenDesktopの管理コンソールからFLORA bdの管理・制御、動作状態監視を行うことができる。また、従来から提供してきたクライアントブレード用省電力運用ソフト「SAVINGDA Pro」を機能拡張することで、省電力設定を管理者側から一斉配信できるなどの機能を搭載している。休止/起動時間の設定を一斉配信できる機能に加えて、二酸化炭素(CO2)排出削減量に換算した省電力効果集計などの管理機能も強化されている。
日立のセキュアクライアントソリューションは、セキュリティPC「FLORA Se」シリーズや認証装置「KeyMobile」、FLORA bdを組み合わせて実現するシステム。「情報を持たなければ漏洩しない」を基本コンセプトとして、情報漏洩対策に加えてオフィスのフリーアドレス化やテレワーク化などワークスタイル改革の実現を支援するものとしても利用されている。