公開鍵暗号ではスパムを止められない -- ソーシャルネットワークの教訓

文:Adam O'Donnell(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:石橋啓一郎 2009年02月09日 20時55分

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 私はブログで、スパムを無効化する魔法の技術に関するコメントや提案を頻繁に受け取っている。スパムを止めるのに有効な技術は多くあるが、電子メールの本文と発信者への証明はスパムを止められる技術ではない。

 最近掲載した誤検出の影響に関する記事で、私はある読者から公開鍵暗号を使えばスパムの問題を解決できると提案するコメントを受け取った。基本的なアイデアは、この複雑な数学によって電子メールの発信者に関する情報を保証することができれば、発信者の匿名性をなくすことができ、スパム送信者を明らかにすることができるというものだ。

 私はこの提案をこれまでに何度か聞いたことがある。これは一見スパム防止のために非常に役立つように見えるが、いくつかの理由から役には立たない。

 電子メールの署名には、「公開鍵暗号」と呼ばれる技術を必要とする。ここでは、読者のほとんどはそれが何であるかを知っているものと仮定する。公開鍵暗号に不可欠の要素に、「信頼の輪(web of trust)」と呼ばれるインフラがある。これは個人のネットワークであり、各個人は自分から見たコミュニティ内のユーザーの鍵の妥当性を保証する。ネットワーク上の任意の2人のユーザーは、その2人の間に連なる個人の連鎖を検証することによって、互いの公開鍵の妥当性を確認することができる。

 (確かに、完全な信頼の輪がなくとも2個人間で公開鍵暗号を利用することは可能だが、それでは地球上のすべての人間を取り込んで動かすことはできない)

 もし公開鍵暗号について聞いたことがない人が、この概念を知っているような気がしたとしたら、それはこれが現実社会で個人がお互いを吟味するときに使う方法と同じだからだろう。われわれは、自分が信頼している友人や家族から紹介された人は信頼する。自分に近しい人間をたどっていくことによって、新たな個人へのつながりを発見すること、そして友人とのつながりを共有することは、社会にとって非常に重要なことだ。そしてわれわれはこの行動を体系化することによって、インターネット上でも非常に価値の高い資産を作り上げた。FacebookやMySpace、LinkedInなどに人気があるのは、新たな交流の手段をもたらしたからではない。これらのサービスに人気があるのは、社会にとって必要不可欠な相互作用を、ずっと効率的なものにしたからだ。

 そして、問題はこうだ。もしデジタルコンテンツに対して身元証明の手段を提供する公開鍵暗号がスパムを止められるとすれば、巨大な信頼の輪であるはずのソーシャルネットワークには、スパムは存在しないはずだ。しかし現実には、スパムはソーシャルネットワークでも大きな問題になっている。多くの個人は、自ら望んでスパム業者を友人として承認している。これは、「信頼」や「友人」の定義が大きく変わったためだ。スパム業者はソーシャルネットワークの認証の仕組みに対しても攻撃を加えており、弱いパスワードを持ち、つながりの多いアカウントを、辞書攻撃や攻撃成功後のキーボード入力読み取りなどの方法を使って入手している。電子メールコミュニティに対して適用される暗号技術の信頼の輪が、これとは違うと考える理由はない。

 スパムの問題を軽減する技術は多くあり、今後導入してさらに締め付けを強めることができる技術もいくつかある。しかしその中には、公開鍵暗号による電子メールと発信者への署名はない。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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