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クラウドコンピューティングにおける5つの神話を打ち砕く - (page 2)

文:Cath Everett (Special to ZDNet.co.uk) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子

2009-02-11 08:00

神話2:クラウドコンピューティングは世界を席巻するようになる。

 一部の専門家たちによると、IT部門の終焉が目前に迫っているように見受けられるという。どうやら、IT部門の責任者たちは先を争って既存システムを捨て去り、新しいモデルに殺到することになるらしい。

 しかし、宣伝屋が何と言おうとも、そのような向こう見ずな総入れ替えアプローチが実際に採用されたことはこれまでになく、今後も採用されることはないということは、少し現実に目を向けるだけで判るはずである。クラウドコンピューティングをめぐる現在の状況と、1990年代におけるクライアントサーバの状況を比べてみてほしい。当時、メインフレームは過去のものとなるという主張が専門家から声高に唱えられていたにもかかわらず、メインフレームは現在でも重要な存在であり、多くのIT部門において現役で使用されているのである。

 米調査会社Gartnerのソフトウェアリサーチ部門の責任者であるTom Austin氏は、1990年代の人々は「ビジネスやテクノロジ、経済がどのように作用し合うのかについて根本的に誤解していたのであり、クラウドコンピューティングによってIT部門の終焉がもたらされると言っている人々は当時の人々と同じ論理的な誤りを犯しているのである」と考えている。

 Austin氏はクラウドコンピューティングモデルの重要性を認めるとともに、従業員の生産性向上やコスト削減におけるメリットに目を向けようとしないことが「致命的な過ち」になると認識する一方で、クラウドコンピューティングは社内システムを置き換えるものではなくそれを補完するものになるはずであるとも指摘している。同氏は「それは無視するべきではないものの、他のすべてのものと同様に、優れたところがあるからといって傾倒すべきではない。IT部門の終焉というのは大袈裟過ぎる話なのだ」と述べている。

 このことは、IT部門の責任者がいずれか一方のアプローチを全面的に採用し、もう一方を捨て去ってしまうのではなく、クラウドサービスが最も優位性を発揮する面を理解する必要があるということを意味している。

 ほとんどのIT部門は手一杯の仕事を抱えており、そういった仕事の大半は戦略的なものや革新的なものではなく日常的でありきたりなものであるため、AMR Researchのディスラプティブ技術担当バイスプレジデントJonathan Yarmis氏は、「価値の低いもの」や「業務において日常的に使用される要素を持っているもの」を、より良くより安価に行えるクラウドコンピューティング専門企業にアウトソーシングすることを勧めている。そういったものとしては、日常的に使用されるアプリケーションや、電子メール、コンテンツのアーカイブなどがある。

 向こう5年のうちに、ほとんどの企業はクラウドコンピューティングにおける何らかの要素を採用するようになるはずであるため、IT部門の責任者に課される役割もそれに従って変化していくものと考えられている。そしてこういった変化は、彼らが門番ではなく、社内サービスと社外サービスの仲介者となることを意味している。

#神話3:競合する複数のクラウドコンピューティングサービスを利用することができる。

 クラウドコンピューティング市場はまだ黎明期にあるため、その導入は限定的であったり部門単位での試用という形態となっている。導入を妨げている要因として、プロバイダー市場がバラバラな状態にあるという点を挙げることができる。

 AMR ResearchのJonathan Yarmis氏によると、クラウドコンピューティングの純粋主義者がどのような主張を行おうと、「現在こういったものに目を向けているユーザーにとって最も避けたいことは、ちっぽけなクラウドを提供しているプロバイダー23社それぞれとやり取りした挙げ句に、すべてを統合する羽目に陥ることである」という。

 こういったアプローチを採ることで起こりがちな管理やサポートにまつわる頭痛の種は別にして、問題は、例えばプロバイダーが、「統合した際に不可思議な問題が引き起こされる」さまざまな種類のバックエンドデータベースを使用しているかもしれないということだ。他にも、バックエンドアプリケーションがばらばらなタイミングでアップグレードされ、システムや機器の互換性が損なわれる可能性もあるという問題を挙げることができる。このため、Yarmis氏によると「人々は1社に任せたいと考える」という。

 しかし、市場が成熟するとともに、そういった問題は自ずから解決することになるはずである。一方、プロバイダーの統合が不可避であるため、1社の提供するサービスはより幅広いものとなり、ニッチなものではなくなっていくだろう。その一方、IBMといった大手のサービスプロバイダーは、自社のサービスとサードパーティのサービスを集積する役割を担うことのメリットに着目し、結果的に統合や管理の問題の多くが解決されるようになるはずである。

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