厳しい経済環境の中、顧客はMicrosoftのライセンス規約をかつてないレベルで精査している。この事実を受け、Microsoftはいくつかの実質的な対策や割引を提供しはじめている。
これは、長いことMicrosoftの動向を追っている業界専門紙「Directions on Microsoft」の見解だ。同紙は、今秋発売する最新号で、Microsoftのボリュームライセンスプログラムについて新しいレポートを掲載する予定だ(エグゼクティブサマリーはすでに掲載されている)。
「これまでにない議論がうまれている」とDirections on Microsoftのアナリスト、Paul DeGroot氏は述べる。「顧客はかつてないほど厳しい目でライセンスを見ている。ボリュームライセンスはMicrosoftの経営にとって非常に重要だ。顧客が更新しなければ、Microsoftは即収益を失うことになる。更新しなかった顧客は2年から3年後に戻ってこない可能性もある」。これは、Microsoftにとって大きな損失につながる。
Microsoftは、米国時間4月23日に自社会計年度第3四半期の業績報告書を発表する予定だ。その際、金融アナリストや報道関係者が業績報告書の内容を受けてMicrosoftに質問を浴びせるだろうが、Microsoftはボリュームライセンスの更新比率については絶対に口を開かないだろう。ボリュームライセンスのうち、最もよく知られているのは 「Enterprise Agreement(EA)」と「Software Assurance(SA)」プログラムだ。
Microsoftはボリュームライセンスでさまざまな割引--EAが最大26%割引になることは、ここで触れるまでもないだろう--を実施しており、これらは「状況が厳しいことを示すものだ」とDeGroot氏は言う。Microsoftはまた、小規模企業向けにEAを再販するLAR(Large Account Reseller)向けのリベート(割戻し)も拡大している。
大規模企業と中規模企業では、ボリュームライセンスプログラムが浸透していることから、Microsoftは現在、小規模企業に拡大を図っている、とDeGroot氏は分析する。Directions on Microsoftの推測では、Microsoftは5000台以上のPCを持つ企業の70%、1000台〜5000台のPCを持つ企業の40%とボリュームライセンス契約を結んでいるという。PCの台数が750以下の企業となると、この比率は12%に下がる、とDirections on Microsoftは見積もっている。
EAとSAを利用するとライセンスコストを削減できるが、これらのプログラムが理にかなう顧客もあれば、最善の選択にはならない顧客もあるとDeGroot氏は警告する。
Microsoftが2008年8月にSAプログラムに加入したユーザーにもアップグレード権を拡大していることから、EAとSAは、一部顧客にとっては最も安価に「Windows 7」にアップグレードする方法になるだろう。SAの規約が寛大になった結果、顧客の中には1部あたり109ドルで旧バージョンのWindowsからWindows 7にアップグレードできるところもある、とDeGroot氏は述べる。
だが、資本やキャッシュフローを最大化したい顧客からみると、EAとSAは自分たちの資金を充てる最善の投資先とはいえないようだ。
「更新しないと、何かが急に変わるというわけではない」とDeGroot氏。「これらの規約は、(契約期間中)新しいソフトウェアを配信すると約束するものではないからだ」。
だが、DeGroot氏は、あまり知られていない「Microsoft Open Value」ライセンスを「戦術的にみて非常に良い」と評価する。特に、大企業が利用するボリュームライセンスのメリットをなんらかの形で受けたいと願う小規模企業にとっては、同ライセンスは検討の価値があるという。
Directions on Microsoftは、ライセンスに関する新しいレポートを既存購読者に無料で提供する。購読していない人には、749ドルで販売する予定だ。
Microsoftのボリュームライセンスについて、読者の皆さんはどう思いますか?現在のEAとSAを更新しますか?他にIT予算を費やすほうが妥当だと感じますか?
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ