フィルモア・アドバイザリーは5月13日、経済統計や企業決算などのデータをグラフ化して共有できるウェブサイト「vizoo」をベータ版として公開した。同社は“データ版YouTube”を目指すとしている。
vizooは株価・為替・金利といった市場データ、上場企業の財務データ、GDPなどの主要経済指標を組み合わせてグラフにして表示させることができる。上場企業であれば、株価と財務データ、経済統計と財務データというように、種類や頻度が異なるデータを同一画面上に描画することができる。表示するグラフの種類は折れ線や縦棒、面、円などさまざま種類が用意されている。またデータを表示する期間を設定して、たとえば「最新のものまで3期分」といった形での描画が可能。データの更新タイミングに合わせてグラフの内容も更新されるようになっている。
作成されたグラフは、タイトルや解説を加えて保存するとともに、共有することもできる。作成されたグラフは、ブログやコミュニティーサイトなどにタグを貼り付けることで埋め込むことができる。
フィルモア・アドバイザリーでは、ニュースサイトやブログといったウェブメディア、企業内でのナレッジワーカー全般や個人投資家、学生といった個人をターゲットにしている。当面は個人向けに無料で提供ストしている。将来的には従量課金もあり得るとしている。
ベータ版として個人向けのウェブサービスという形式を取っているが、企業向けに有料課金で提供する「vizoo Pro」をこの7月に提供する予定だ。また、将来的には、企業ごとにカスタマイズして企業内のデータを連携させて、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールとしての展開も想定している。
用意されているデータは、GDPなどの主要経済指標、市場データ、上場企業の財務データとなっているが、今後、たとえばスポーツといったデータの種類を随時増やしていく方針だ。それとは別に、ユーザーが自らデータをインポートする機能も付加していくつもりだとしている。作成できるグラフの種類も増やしていくとともに、分析機能を追加、画像や音声、動画といったリッチコンテンツも搭載していくことを明らかにしている。
経済・金融情報配信ベンダーの端末からは、表形式の数字だけのデータだけが提供され、そのデータをもとにユーザーはグラフを作成するという形だ。表があって、それを分析したものをグラフなりチャートという直感的にとらえられるように可視化するのである。
しかし、この段取りでは、まず最初に表形式のデータが持つ意味を探る必要がある。それに対して、フィルモア・アドバイザリーが提供するvizoo(その後に控えるvizoo Proや企業向けサービス)は、データ加工とグラフ作成を同時に行うことで、データに眠る意味を常にリアルタイムに直感的に把握できるようになっている。
この数年で企業向け情報システムの一つの潮流として、いかに経営のリアルタイムを把握するか、つまりBIシステムを上手く活用できないかというものがある。データを可視化することで、経営状況をリアルタイムに見える化していこうとする流れである。フィルモア・アドバイザリーがvizooを企業向けにどのように提供されるかはまだ具体像が見えないが、vizooが持つBIツールとしての潜在能力は注目されるところだ。