Kaspersky Labs Japan(カスペルスキー)とデジタルアーツ、丸紅情報システムズの3社は5月13日、セキュリティ製品の開発と販売で協業することを発表した。
カスペルスキーのアンチウイルス技術と、デジタルアーツのウェブフィルタリング技術を組み合わせた新製品を開発し、丸紅情報システムズが販売と保守サポートを担う。
具体的には、デジタルアーツのフィルタリングソフト「i-FILTER」と、カスペルスキーの「Kaspersky Anti-Virus for Proxy Server」を統合したソフトウェア「i-FILTER Powered by Kaspersky」(仮称)を開発する。
2009年9月にICAP版をリリースし、2010年第2四半期中に統合版をリリースしたい考え。標準販売価格は500ユーザーで200万円程度を想定。この価格は両製品を個別に、定価で購入した場合と比べて2割から3割割安な価格設定だという。
ウェブフィルタリング+アンチウイルスの融合
ウェブを経由する脅威が日常化し始めている現在、「もはや単独製品での対策では限界がある」と、丸紅情報システムズ プラットフォーム&ネットワーク事業本部 NSソリューション部 部長補佐の山崎僚氏は指摘。HTTPに特化したセキュリティ対策製品として、「ウェブフィルタリング分野でナンバーワンのデジタルアーツと、アンチウイルス分野でナンバーワンのカスペルスキー」(同)の製品を融合させるべく、丸紅情報システムズが協業の呼びかけを行った。その結果、「国内企業のニーズに対応することを目的とした新ソフトウェア製品の開発販売で協業することになった」(同)という。
丸紅情報システムズは「i-FILTERとカスペルスキーの法人向け製品の両方で、販売とSIに実績がある」と山崎氏。今回発表された新製品は「製品開発はデジタルアーツ、アンチウイルス技術はカスペルスキー、そして販売と一次保守を丸紅情報システムズが担う」ことになると語っている。
有害サイトの閲覧禁止や情報漏えい対策としての「i-FILTER」と、ウイルス対策やマルウェア侵入防御としての「Kaspersky Anti-Virus for Proxy Server」を統合することで、設定ファイルやログ、レポートの一元管理を実現する。これにより、管理コストを低減させることが可能だとしている。
今後、VMware ESX Serverに対応する予定で、省電力化とあわせて「ソフトウェア製品の弱点だった復旧の高速化を仮想化ソフトで解決」(山崎氏)することを目指す。また、その他の仮想化ソフトウェアとの連携について、デジタルアーツ 取締役COOの高橋則行氏は「Xenは現在、社内テストの段階」だと語っている。
顧客ニーズから実現した製品の統合
3社の協業は丸紅情報システムズの呼びかけによって実現した。丸紅情報システムズ 常務執行役員 板垣博氏は、「それぞれの製品を販売、保守サポートしていくなかで、両社の技術を融合したソリューションを実現したいと考えた。また、(統合製品に対する)顧客のニーズも感じていた」と語っている。
「それぞれのジャンルのトップベンダーが手を組んで統合製品が実現する。非常に喜ばしいことだと思う。統合製品で顧客のIT利用環境に多大な貢献ができるだろうと大きく期待しているところだ」(板垣氏)
Kaspersky LabのCEO、Eugene Kaspersky氏は「今後増え続けていく脅威に、より迅速に対応して保護をより強固にするため、デジタルアーツと協業させていただくことを非常に嬉しく思っている」と協業に期待を寄せている。
「両社に得意分野がある。それぞれの得意分野を組み合わせて顧客に提供していきたい」(Kaspersky氏)
デジタルアーツの高橋則行氏は、「プロダクトが融合することで新しい付加価値を顧客に届けられる」と語り、「新製品をいち早く顧客に届けられるように、今後の開発に注力する」と意気込みを見せている。