クラウドコンピューティングがビジネスを変える8つの方法
- 新世代の製品とサービスを作り上げる。クラウドコンピューティングの経済は、革新的な企業がこれまでは不可能だった製品を作り出すことや、競合相手よりもずっと安い製品(あるいは単にずっと収益性の高い製品)を作り出すことを可能にする。クラウドコンピューティングのこの側面は軍拡競争であり、このチャンスが得られるのは短期間に過ぎない。これは、一度その利点が効果的であることが証明されれば、競合相手がクラウドコンピューティングの経済的な利点を自社の製品に組み込むことは、比較的短期間でできるためだ。興味深いのは、手が出せないほど大量のコンピューティングパワーや規模、あるいはまったく新しいビジネスモデル(前述のオープンサプライチェーンやグローバルSOAなど)を必要としたり、既存の技術的な制約やコストパフォーマンスの制約によって実装不可能だったビジネス上のアイデアが、実現可能になったことだ。ストレージ、処理能力、テクノロジーの進歩は、これまで不可能だったイノベーションを可能にするが(たとえば高速インターネットはYouTubeを可能にした)、クラウドコンピューティングはそれらのチャンスを非常に手が届きやすいものにしてくれる。賢い企業は、すぐにこれに気づくだろう。
- ITサービス提供者との間での、新しい軽い形のリアルタイムな協力関係やアウトソーシングが可能になる。従来の形によるITサービスのアウトソースを経験している企業ならば、これがどういったものかをすでに理解しているだろう。アウトソーシングを行うと、これまで社内にあったものの大部分が、他のどこかに置かれ、何かを変えるのは困難になる。しかし、従来のITのアウトソーシングとは違い、クラウドコンピューティングは、これまでのアウトソースではほとんどの場合不可能だった敏捷性と管理可能性を与えてくれる。クラウドサービスベンダーが気に食わなければ、長期契約を結んでいるのでない限り、ITアウトソース事業者よりはずっと簡単にベンダーを変えることができる。実際、多くのクラウドコンピューティングの関係は、単なる月末にキャンセルが可能な契約と、法人宛ての請求書だけのものだ。多くの企業にとっては、この条件は今よりもいいものであり、すべてを社内でまかなう場合や、アウトソース事業者との関係を結んでいる場合よりも、はるかに多くの選択肢を与えてくれる。
- インターネット、特にWeb 2.0に対する新たな意識と活用方法。ほとんどの企業は、依然としてウェブ技術を「重要な」コンピューティング技術だとはみなしていない。しかし、ウェブはWeb 2.0時代に大きく成長し、規模の問題、性能の問題、非常に多くの数の気まぐれなユーザーを満足させるという問題などの難問に直面してきたため、いまや多くの企業向けシステムが及びもつかないほど強力かつ経済的な形で、それらの課題を解決する技術、ソリューション、アーキテクチャが作り出されてきた。クラウドコンピューティングを採用した組織は、自らがオンライン世界のさまざまな要素の海に飛び込んだことに気づくだろう。それらの要素は、ソーシャルツールかも知れないし、SaaSや非リレーショナルデータベース、あるいは数多くのクラウドに関わる技術かも知れない。そして最終的には、そのことが組織にとって役立ち、多くの企業が21世紀の競争に勝ち残るのに必要なスキルや観点を習得することにつながるだろう。
- 従来のSOAと、クラウドやその他の新たなITモデルの融合。ZDNetのJoe McKendrick氏が、クラウドのためにSOAがどのように進化しつつあるかを説明している素晴らしい記事がある。クラウド技術の出現は、SOAによって取り扱われる必要があり、何らかの形で取り込まれなくてはならず、SOAはすでに現在の重苦しいアプローチと技術のツールセットに対し、変化と改善への入り口を探す目を向けている。ウェブ指向アーキテクチャは、ウェブベースの、組織のあらゆるレベルでSOAを構築するために利用できる、中立的で軽快な手段であるクラウド技術と相性がいい。多くの組織では、クラウドは従来のSOAの限界を超えさせ、新たなビジネスと技術の要件を満たし、変化の速さや新たなビジネスの条件に対応できるものにする可能性が高い。