企画を作る時には、想定した参加者のゴールを設定した上で、「この人とこの人をつなげるといいのではないか?」と考えながら、また、「こういう会を考えているけれど、興味ある人は一緒にやらないか?」などと声掛けしながらセッティングするという中村さん。ただ単に楽しいことや面白いことをすることが目的なのではなく、現場の従業員が困っていることを解決するために何ができるのかを考え、その企画に楽しく参加してもらえる場作りが「ちゑや」のミッションであり存在意義なのです。店主と女将という役どころは、企業の組織の枠を超えて社員をつなぐための業務=商いをせっせと試みるお2人のイメージにぴったりと言えます。
イベントのネーミングにもこだわりが
話が進むにつれて、イベントごとのネーミングにも込められた思いが伝わってきました。
「勉強会」や「セミナー」ではなく、「スペシャルライブ」と名付けていることについては、「講師と受講生ではなく、参加者になってもらう。そこで楽しんだことを、次のアクションのためのエネルギーに変え、すぐに実行してもらいたい。そんな意識でイベントを企画しています。求められているモノは一体感とスピードで、まさにライブコンサートをイメージしています。そして、参加者の皆が一緒になって、つながるように作るのがコンセプトです」と中村さん。「無手勝塾」は「難しい流儀を廃して」という意図からと命名し、「夜会」は、強制的な社内懇親会ではなく、「ゆるい場で集うことを目的としながら、怪しさや楽しさも漂わせる」といった意味合いが込められているそうです。
企画に関しては「社内でのコミュニケーションを円滑に図る上で、あるいは業務を遂行していく中で、自分自身が必要だな、やってみたら面白そうだなと思うことを洗い出し、現場の社員に課題や問題をヒアリングして企画を考えます。例えば「ココロとカラダの元気術」場合は、『日常の忙しい中で、ちょっと立ち止まって考える時間を作りましょう。時には心も身体を調和させてあげましょう』というコンセプトで始めました」と中嶋さんは説明しています。
非公式な形でのみ運営されていた活動を、組織力強化のための新しい手法として組織化してしまった同社経営陣の視野の広さにも学ぶところは大きいのではないでしょうか。「店主兼つなぎビルダー」、「女将」という肩書きを公式として認めていることは、経営陣、従業員からの「ちゑや」に対する信頼の証と言えるでしょう。今回の取材を通じて、非公式でも居心地の良い環境を自分達で作ってしまう社員のバイタリティと、それを認める会社としての視野の広さと、懐の深さを感じました。
最後に中村さんは「ちゑや」のこれからについての思いを「何だか分からないけど楽しいし、元気になれる。そして現場に戻ったら自力で走れる。そんな場を、これからも考えながら仲間と一緒に作っていきたい。そして、今後はもっと(「ちゑや」発ではなく)社内の現場から自然発生的な試みが持ち上がって来ればいいなと思っています」と語っていました。
それでは、今回はこの辺で! あなたの会社のユニークな制度についての情報も、ぜひお寄せくださいね。
「あったらいいな」を実現する企業:ファイル9 | |
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社名 | リクルートエージェント |
事業内容 | 転職エージェント |
設立 | 1977年11月 |
従業員数 | 1800名(2009年4月) |
資本金 | 6億4335万円 |
本社 | 東京 |