日立の強みは「技術」「経験」そして「パートナー」
続いて、登壇したのは執行役専務 情報・通信グループ長&CEOである中島純三氏。中島氏はまず、日立社内におけるビジスネイノベーションの実例について説明した。
日立では、6万5000台のセキュリティPC(シンクライアントPC)を導入し、どこでも安心して働ける環境を実現することで、ワークスタイルの変革を実現したとする。これにより、9000人規模のフリーアドレス実現やサーバ150台の統合によって、消費電力で59%、サーバ設置スペースで67%、ケーブル数では71%の削減が可能になったという。
また、社内SNSである「こもれび」を活用して、社員同士が持つノウハウ、知識を共有。「これを社内にシナプスのように発展してさせていきたい」とした。さらに、「ビジネス顕微鏡」と呼ばれる名札型の端末を利用したツールでは、誰と誰が対面したかというメンバーの行動を記録。コミュニケーションの様子を可視化することで、知の連携を最適化することに活用しているという。
一方、社外のパートナーとの協創の成果として、「企業間連携」「新ビジネスの開拓」「サービス力強化」「お客様接点改革」「強みの相乗効果」という観点から紹介。4万社が参加しているという、同社による企業間ビジネスメディアサービス「TWX-21」の活用に加え、MVNOによるUQ WiMAXを展開するUQコミニケーションズ、損保ジャパン、鹿児島銀行、NTTファシリティーズとの協創実績を示した。
「TWX-21は、電子商取引の基盤づくりから、企業共生エコシステムへと発展している。たとえば、REACH規制への対応が容易になるといった活用もでき、参加企業のビジネスの拡大にも寄与している」(中島氏)
一方、中島氏は「情報の活用がイノベーションを生み、それが新たな情報を生むという、イノベーションの連鎖が起こる。この連鎖を支えるインフラとして、クラウドコンピューティングが役に立つ。日立はITが空気や水と同じように使えるように、ITプラットフォームコンセプトである“Harmonious Computing”を提案しており、そのプラットフォームコンセプトの先にあるのが、日立のクラウドとなる。日立が提供するクラウドは、社会インフラの要求水準に達するものであり、長年に渡り、メインフレームで培った経験ノウハウを、クラウド時代にも変わることなく、我々の強みとして生かすことができる。クラウドの実現には、利便性に加えて、信頼性が大切であり、日立は、それを両面からサポートできる」と語った。
最後に、日立が提供できる強みとして、「ITの技術力、システム構築力」「協創に挑むパートナーシップ、協創する力」「自らIT経営改革を通じて培った経験、ノウハウ」の3点をあげ、「社会イノベーションの起点は、ビジネスイノベーションである。日立は、それを支援していく企業でありたい」と締めくくった。
なお、基調講演の終了後には、この日、46年ぶりに日本列島で見られた皆既日食の映像を中継した。この中継は、日立のテレビ会議システム「Wooolive」を活用して、360インチの大スクリーンで放映したもので、硫黄島の国立天文台の提供によるハイビジョン映像のほか、奄美大島、北海道、大阪、福岡の映像も放映した。