プライベートクラウドのインフラ要素
Elias氏は、プライベートクラウドのインフラとなる要素として、サーバ、ネットワーク、ストレージの3つを挙げる。
このうちサーバの仮想化については、EMC傘下のVMwareが多くの技術を有している。ネットワークはCisco Systemsとの連携によって提供される。そしてストレージはもちろんEMCのコア事業である。さらに、RSAの持つ暗号化や認証といったセキュリティ技術も加わり、情報漏えいやコンプライアンスへの対応も高められる。
各社の技術を組み合わせることで、データやアプリケーションの実体がデータセンターにあるのか、それともパブリッククラウドにあるのか、ユーザーは意識する必要がなくなる。これにより、どこにいても、どんなデバイスを使っていても、同じアプリケーションを利用できる。
以上のように、ストレージを中心とした物理的な情報インフラ事業、そしてVMwareの技術に代表される仮想インフラ事業の2つが、EMCグループのコアとなっている。これに加えて、コンサルティングから設計、評価、運用に至るまでのサービス事業も拡大している。
Elias氏は「EMCはストレージの企業だと思われているし、事実この分野ではナンバーワン。しかし、単なるストレージの会社ではない」と話し、現在の同社は「ITを最適化する企業」であると強調した。
クラウドのコンセプトは生き続ける
EMCジャパン 代表取締役社長の諸星俊男氏は、クラウド基盤の提供に注力する意図を、「アプリケーションは一旦決めると変えるのは大変なので、堅固なものを使っていただいたほうがいい。しかし、インフラはハード、ソフトとも研究開発は進んでいる。なるべく良いものをタイムリーに使っていただく必要があり、アプリケーションとインフラの結合をもう少し疎にしたらいかがでしょう、というのが我々の根本的な提案」と説明する。
また、クラウドコンピューティングという言葉はいわゆる「バズワード」であるという冷ややかな見方もあるが、諸星氏はこのような意見に対して「クラウドという名前が10年後に残っているかというと、みんな忘れているかもしれない。しかし、そのコンセプトが将来の情報インフラの中に生き続けるのは間違いない」との考え方を示し、呼び方が何であれ、クラウドコンピューティングの有効性は確かなものであるとアピールした。