プレゼンテーションで伝えたいことを効果的に伝える方法--エリック松永の英語道場(31) - (page 3)

エリック松永

2009-08-24 08:00

 リスナーを魅了するストーリーのテクニックは以上です。実は、3つのテクニックの中で一番重要なのがこのストーリーなのです。どんなことがあってもここで手を抜いてはいけません。必ずこのストーリー作りのポイントは押さえておきましょう。

 残り2つのテクニックについては簡単に説明させていただきます。

リスナーを寝かせないテクニック

 リスナーを寝かせないようにと気を使って変に面白いことを言おうとする必要はありません。まずは、堅実なストーリーかつ無駄のない表現でリスナーに納得感を与えることがポイントです。無駄な話は睡魔の源。あなたのメッセージに意味があるなら、それを確実に伝えればいいのです。

 欧米人は皆プレゼンテーションがうまいと思うのは、単なる錯覚です。プレゼンテーションの資料がカラフルで、使われている言葉は当たり前ですが英語なので、圧倒されているだけです。しかし、一見派手でも、現実離れしている内容や難しいことばかり散りばめられているプレゼンテーションは、実際には多くのリスナーの心に何も残さないのです。言いたいことをきちんと伝える姿勢が大切なのです。日本人は堅苦しいと思われてもいいじゃないですか。リスナーの心に何か大きな影響を与えられれば、リスナーは決して寝ようとはしないはずです。

緊張しないためのテクニック

 緊張はなぜ起こるのか。もちろん少なからずどんな人でもプレゼンテーションの時は緊張してしまうでしょうし、緊張を完全に取り除く方法は酔っ払うくらいしかないかもしれません。しかし、緊張を和らげる方法はあります。

 まずは、プレゼンテーションのスライドの作り方です。スライドに関しては、よくかっこいいテンプレートを活用して自爆する人がいます。おそらくこの手の人が作ったスライドをプレゼンテーションの前にレビューしていると、緊張感はどんどん増していくでしょう。なぜなら、他人の作ったスライドは話しにくいからです。

 プレゼンテーションが苦手な方こそ、自分が話しやすいスライドをじっくり作成すべきです。スライドの王道から外れた文字の多いスライドでもいいじゃないですか。その方があなたが自信を持って話せるのであれば、リスナーはそちらの方があなたを頼もしいと思い、信頼するはずです。とにかくスライド作成の基本は、自分が話しやすいスライドにすることです。話しやすいスライドによって自分の安心感が増します。緊張をほぐすためにも、自分に合ったスライドを作成すべきなのです。

 もうひとつ、緊張しないためのテクニックがあります。それは充分にリハーサルすることです。特に日本では、プレゼンテーションが苦手と言う人が多いのにリハーサルが極端に少ないという事実にお気づきでしょうか? 欧米人のプレゼンテーションのリハーサルにかける時間は並みではありません。何度も重ねるリハーサルで実際に話してみることによって、話しにくい部分の修正を繰り返し、それが緊張をほぐす役目も果たすのです。

 私の場合、プレゼンテーションのリハーサルは時計で時間を測りながらiPhoneに録音し、それを聞きながら話す内容を修正しています。これを最低でも3回ほど繰り返すと、かなりスムーズに話せるようになれますし、変な不安がなくなるので緊張からかなり開放されます。

 最後に、雑談になりますが日本のプレゼンテーションで伝説になっている「高橋メソッド」というのをご存知でしょうか? 日本Rubyの会の高橋征義氏がプレゼンテーション資料を持ち合わせていなかった時に講演する事態になり、巨大な文字のみで構成されたプレゼンテーションのスライドを急いで作成したのが始まりです。このプレゼンテーションは大反響を得ましたが、これは高橋氏の頭の中にあふれんばかりの情報があり、それを流れるように話すスキルがあったからこそ評価されるメソッドです。私も一度やってみたのですが、話が脱線しやすい私だと余計な話ばかりになってしまい、何を話しているのか自分でも分からなくなってしまう始末。私には合わないなぁと実感したと同時に、高橋メソッドでリスナーを魅了するプレゼンテーションにも挑戦していきたいと思った次第です。プレゼンテーションも努力、努力ですね。私自身も頑張ります。

 次回は、オープニングからプレゼンテーションの最後まで落ち着いてプレゼンテーションに臨むため、スライドの隙間をうまく埋めるテクニックをお話します。

Peace out,
Eric

Eric
筆者紹介

エリック松永(Eric Matsunaga)
Berklee College of Music、青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)卒業。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて、先進的なネットワークコンサルティングの領域を開拓。その後アクセンチュアにて、通信分野を柱に、エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在、通信業界を対象にした経営コンサルタントとして活躍中。著書に「クラウドコンピューティングの幻想」(技術評論社)がある。

イラストレーター: まつなが みか
つぶやく日本人や音楽にまつわる「人」のイラストを描く。CDジャケット、ショップ、雑誌等で活動中。エリック松永の愚妹。

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