Clear Standards買収で獲得したSaaS型ソリューション
ソリューションの具体例は
2009年5月に買収したClear Standardsのソリューションはオンデマンド型であり、インターネットを介して利用することが可能だ。つまりデプロイメントが不要になる。
このソリューションは、企業が排出する温室効果ガスや廃棄物などが、環境にどのくらい影響を及ぼすのかを測定する機能をもっている。たとえば、従業員1人あたりの二酸化炭素の排出量について、通勤時に公共交通機関を使ったのか、自動車を利用したか、飛行機に何度乗ったかという項目まで把握できる。
このソリューションを使うことで、企業のエネルギー消費量を明確に示すことが可能になり、深く掘り下げて追跡することもできる。グローバルに事業展開している企業は各拠点からデータを収集するのが容易ではないが、ワークフローベースのデータ収集ツールによってこの問題も解決した。
サステナビリティの導入、望ましいのはトップダウン式
企業はサステナビリティを備えるために、どこから手をつけていいのか
まず、ベースラインを見極めて、企業がどのような状態にあるのかを知ることから始めると良いだろう。次に戦略を立案して、ゴールを設定する。長期的な方向性を定めることが重要だ。
戦略の立案にあたっては経営陣のもつビジョンを加味することも重要。特にCEOは重要な役割を果たさなければならない。経営層の設定した戦略を組織に下ろしいくというトップダウン方式が望ましい。
また、導入にあたってはオペレーションの最適化が重要になる。SAPのビジネスプロセス管理のソリューションが効果を発揮できるだろう。
収益を上げること、社会的責任を果たすこと、そしてサステナビリティ――この3つは同時に成立するのだろうか

法令などの各種規制は基本的に政府から課せられるものだ。対応しなければならないが、単に対応するだけでは競争優位性の向上に直結するとは限らない。資源の利用管理は、原材料やエネルギーのコストを高くしないようにすることだ。社会的責任の局面では、業務上のプロセスで何か問題を起こすと、企業価値が傷ついて収益に直接響くこととなる。
考えてみると、規制はリスクを目立たせることになる。資源の利用管理は、消費をなるべく抑制することが要点。正しい商品を適切に提供すれば、競争優位性にもサステナビリティにもプラスになり、消費者からの評価も上がるだろう。
規制への対応にはソフトウェアによる自動化が効果的だが、これはコスト効率の向上にもつなげることができる。収益性、社会的責任、サステナビリティは、うまく回転させれば、互いに連携しながら正のスパイラルを描けるのだ。